最近の消費の流れで、個人的に注目しているのが「応援消費」の存在です。商品が欲しくて買うという通常の消費というよりは、人や企業・地域などを応援するためにお金を払う、というふうにここでは定義します。

 新しく出てきたものではなく、以前から応援消費はあります。例えば、研修中バッジを付けた新人の接客が多少不慣れでも、一所懸命に接客されたから、という理由で買物されることがあります。

 知識や実力が伴っていないため、こうした売上げは業界内では「ビギナーズラック」と呼ばれることもあります。これはお客さま側がどうしても商品が欲しかったから、接客に根負けしたから、という見方もできますが、私はその人へ対しての「応援」の意味を込めて購入しているのではないかと今は考えています。

 その新人の将来(いつか接客がうまくなること)の成長に期待して、おもてなしの頑張りに心を動かされたので、という形でお金を払う――もちろん商品自体の魅力はあるのでしょうが、どちらかというと「新人」だったから買う、という決断が成されているように思うのです。

『応援』という形の可視化

 他にも、自然災害など大きな被害があった地域の食べ物を食べること、クラウドファンディングでプロジェクトを選んでお金を払うことも、応援消費に入ると私は考えます。

 そして最大の特徴は、これらをネットを中心に広く表明できるようになったことだと感じています。

 今までは、こうした行為はせいぜい親しい知人に「こんなことがあってね」と狭い範囲で伝えて、口コミが広がるだけでした。

 もちろん、今でもひっそりと個人的に応援消費を行っている人もいるでしょう。ただ、旅行や食べ物の写真をFacebookにアップする、口コミサイトでポイントをもらうために自身の体験コメントをネット上に書き込むことは特に珍しくなくなりました。

 スマホやネットの普及により、消費活動は自分で楽しむだけでなく、他人とシェアして楽しむ、という新しい流れが生まれてきたのです。

 クラウドファンディングでいえば、「〇〇人がプロジェクトを支援しています」と数字で見える化されています。具体的な人数や金額が表示されていれば、興味がなかった人の中からも「そんなに多くの人が支持しているものは何だろう?」と気になる人も出てくるでしょう。

 日本人に限っていえば、「他の人がやっているから私も」という選択が、良くも悪くもまだ強いです。「〇〇さんが買っているから私も同じものを買おう」と思う人は少なくなりましたが、「(自分と価値観の合う)〇〇さんが支持している」ということ自体は、今でも大きな力を持っています。