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ビール類や酎ハイならいいのだが、スーパーマーケット(SM)の酒売場に行っても買うワイン選びに困るという人、意外に多いのではないだろうか(これは日本酒や焼酎にもいえる)。

それはSMのワイン売場に魅力が乏しいから。では、どうすればその魅力を高められるか、その手法を内藤邦夫さん(カーブ・ド・リラックス代表取締役社長)に解説してもらった。

 ワインの大きな特徴の1つは、多様性にある。食べ物に例えれば、そばではなく、すしだ。すし屋でおいしい旬のネタが入っていても、そればかり食べたりはしない。次は何を頼もうかとワクワクするのも、すしを食べる楽しみだからだ。ワインも同じで、いいワインを飲むと、次は何を飲もうかなと考え、多様性を味わうのがワイン好きの飲み方になっている。

 SMのワイン売上げが落ちている要因の1つは、SMのワイン売場に、その多様性がないことだ。そうなってしまった原因は、チリワインにある。チリワインは、輸出のために作られたのがスタートだ。ボルドー品種を使って、ボルドーの高級ワインと同じような作り方をしているので、ボルドーワインのような味わいだが、価格は安い。コスパの高さで、アメリカで火がついた。

 僕が最初にチリワインに出会ったのは、酒類ディスカウンターのやまやがチリワインの輸入を始めた時だ。飲んでみると、味わいも香りもボルドーの高級ワインに似ている。当時1000円くらいだったと思うが、この価格で、このクオリティはすごいと驚いた。

 その後、じわじわと日本に浸透。メルシャンが「サンライズ」という1000円を切るチリワインを発売し、アサヒビールが500円を切る「アルパカ」を出すなど大手企業も注力したことでマーケットが広がり、3年前には、数量ベースで、チリワインがフランスワインを抜いたと話題になった。

 そうなると、チリワインさえそろえれば売れるだろと、SMの酒売場ではチリワインの強化を図る。シーズを見ないで、ニーズだけとろうとする日本のマーチャンダイジング(MD)にありがちなやり方で、売りたい物を売るのではなくて、売れている物をもっと売ろうと、皆が同じ方向を向くので、SMやホームセンターの売場がチリの赤ワインだらけに。白ワインと赤ワインの構成バランスも崩れてしまい、さらに、右へ倣えで、500~600円の価格帯を中心に1000円以下を品揃えするので、似たような売場になる。

 チリワインしか飲まない人はいないはずなのに、どこのSMに行っても、ラベルは違えども、同じような味わいのワインばかり。これでは、面白みがなくなり、客離れが起きて当然だ。