原価率を45%に引き上げお客さまが詰め掛ける

 その後、大きな転機が訪れた。新しくあっせんされた料理人が人格的に優れていて、小林氏とも波長が合った。その人物が現在の統括料理長である田中隼人氏である。小林氏が田中氏とタッグを組むことで、店の売上げは格段に向上した。田中氏は1973年生まれ、青森市出身、料理の専門学校を卒業後、日本料理の店で料理人を務めてきた。

 2人が行ったことはこのようなことだ。

 まず、「とにかくお客さまが店にやってくる流れをつくろう」ということを心掛けた。それまで原価率30%にこだわっていたが、45%に引き上げた。

 それまで、主力食材の魚は野締めのモノを使用していたが、全て活締めや活モノに変更した。

お通しは500円を超えるが(青森市内の相場)、一品として充実している

 お通しはぞんざいなものではなく、きちんとした一品を提供するようにした。例えば、トゲクリカニを1匹、きちんと煮込んだタンシチュー、キロ7500円の本マグロのユッケとか。

フードメニューはリピーターのお客さまにとってもいつも選べる楽しさを提供

 メニューのクオリティを上げて原価を掛けても価格帯はほとんど変えずに提供することによって、毎日満席になる店となった。

 また、コース料理の中に生きたボタンエビを入れた。活きた状態のボタンエビの殻をむくことは非常に手間がかかるが、これが大層好評となり、コース料理を予約するお客さまが格段に増えた。

 このように、お通しとコース料理を強くしたのは、来店した全てのお客さまに最低1回の感動をもたらし、「記憶に残す仕組み」をつくろうと考えたからだ。小林氏は田中氏とは、常に「攻めて行こう!」と話し合っているという。

「青森のように商圏が小さい所では、同じお客さまに2回、3回と来店していただくことが重要です。こうして複数回来店するお客さまは、次回に友人を連れてきました。そして友人の方がまた友人を連れてくるようになりました」

 こうして1号店は繁盛店となっていった。初年度の年商は2700万円であったが、この9月期は9000万円となっている。実に3.3倍に伸びた。

2016年から1年1店舗の展開を進める

 1号店が軌道に乗るようになったのはオープンしてから3年後辺りで、そこから2号店の出店に備えて貯蓄に励んだ。銀行からの融資も受けられるようになった。

 そこで、銀行からの融資を1300万円、自己資金300万円を投入し、2016年3月に1号店から300m離れた場所に2号店をオープンした。寿司をメインとした居酒屋で25坪の路面店である。ちなみに青森市内の歓楽街の家賃は、路面の場合1坪8000円~1万円。2階は6000円程度となる。

 3号店は、2017年8月にオープン。メイン料理は魚や肉をわら焼きにして提供する。

 4号店は、2008年8月にオープン。既存店の客単価4000円前後に対して5000~5500円に設定し、店名の地雷也に「極」という冠を付けた。

「極」ではオープンキッチンにしてライブ感を演出

「これは接待需要の店という感覚ではなく、既存店で普段使いをしていたお客さまが、ぜいたくをしたいという利用動機です。お金持ちでも何でもなく、大衆をターゲットにしていきます」

 地雷也の各店舗がこの間、手掛けてきたことは、フードのメニュー数を増やすことであった。小林氏はこう語る。

「メニューを絞り込むという発想は、都会の人口の多い所のものでしょう。青森では特徴のある一品が評判になり、それで繁盛したとしても、お客さまがいったん飽きてしまうと店に来なくなってしまいます。そこで、同じお客さまに何度も来店していただかないといけない。いつも選ぶ楽しさが必要となります。そこで、当初60だったのが、現在は110くらいに増えています。私は、このように一品が100点の店ではなく、100品の全部が90点という状態を目指しました」

 フードメニューのメインは、魚と肉。その中にはキラーコンテンツを必ず設けている。

 例えば、キロ8000円程度のブランド牛を1品100g1000円以内で提供するとか。「お客さまがメニューを目にした瞬間にコスパの高さを実感できるようにしている」という。

地元や県外の新鮮な食材を生かして、キラーコンテンツも明確にしてメニューを組み立てている。独創的な器も「地雷也」の個性をアピールしている