イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

 子供の頃にはやった遊びに、「10回クイズ」というのがあったのを覚えているでしょうか。

「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ……」と10回言わせてから、ひじを指さして「ここは?」と質問すると、多くの人がなぜか「ひざ」と答えてしまうというもの。

 なぜ「ひじ」を「ひざ」と答えてしまうのでしょう。それは、心理学的には『プライミング効果』が働くからだといわれています。

 プライミングとは「誘発するもの」という意味。ある情報が直前に刷り込まれると、それがその後の思考に影響を与えてしまうのです。

 試しに「自動車、船、新幹線」といった文字や絵を見せた後に、「空を飛ぶものは何?」と聞いてみてください。相手はたぶん「飛行機」と答えるはずです。「鳥」や「昆虫」など他にも飛ぶものはいくらでもあるのに、人は最初に見せられた文字や絵に誘発されて、同じように人工的に作られたもの=飛行機を連想してしまうのです。これも『プライミング効果』のなせるワザ。

 こうした無意識への刷り込みは、意外なほど効果があるので、さまざまな方面で活用されています。

 例えば、セール期間中、ショーウインドーから店内まで「SALE」や「◯%OFF」といった文字を氾濫させるのは、実はこの『プライミング効果』を狙ってのこと。それらを見たお客さまの無意識に“安い”“お買い得”という情報を刷り込み、購買意欲を高めるための戦術なのです。

 この効果は、お店のエクステリアやインテリアでも働きます。シックで格調高いデザインのお店では、消費者は無意識に値は張っても質のいい商品を選びがちですし、カジュアルなデザインのお店では安くて経済的な商品を選択する傾向が高まります。

 ということは、お金をかけてお店のインテリアを格調高くしても商品が安価なものばかりでは、せっかく『プライミング効果』が働いて高い買物をしようと思っているお客さまは肩すかしをくらってしまうことになるかもしれませんね。

 さて、あなたのお店は、インテリアと商品のバランスはとれているでしょうか。チグハグになっているとしたら、商品構成を再考する必要がありそうです。

 この効果が働くのは、視覚情報だけではありません。聴覚情報でも働きます。ですから、BGMによる演出をなさっているお店では、どんな選曲がどんな消費欲求を高めるかを認識しておく必要があります。

 さて、あなたのお店に流れているBGMは、果たして商品に相応しいものでしょうか。

 もし頭が?マークでいっぱいになってしまったとしたら、論より証拠、あなたのお店とコンセプトが似ているお店を見学に行きましょう。

 何だか無性に買いたい欲求が高まるお店は、『プライミング効果』が有効に働いている証拠。ぜひ、そのお店のインテリアやBGMを参考になさってみてください。