全て中古のスマートフォン

 総務省は2019年9月1日からスマートフォンを契約した携帯会社以外で端末を使えないようにしている「SIMロック」について、中古端末でも解除に応じなければならないと各携帯会社に義務付けることを決めた。大手キャリアの新規スマホを分割払いしたときには、101日目からSIMロック解除をできるようになっているが、それに引き続き、中古スマホでもSIMロックを解除することでユーザーの選択肢を広げようというのが総務省の狙いだ。今後、日本ではどのようなことが起こるのか? SIMフリーの市場が基本である香港の実情を踏まえて、解説したい。

端末をキャリアから「買う日本、買わない香港」

 日本の携帯電話キャリア(MNO)は、「NTTドコモ」「AU」「ソフトバンク」の3大キャリアに、仮想移動体通信事業者(MVNO)だった「楽天モバイル」が2019年10月からMNOとしてサービスを開始する。

 香港のMNOと異なる点として、日本のMNOはスマートフォンの端末販売を積極的に推進している点だ。ちなみにNTTドコモの2018年3月期の通年決算を見ると営業収益は前年比4%増の4兆7694億円。営業収益の内訳をみると通信サービスが同5.1%増の3兆1379億円、端末機器販売は同5%増の7551億円。つまり、携帯販売の売上高は営業収益の16%しか占めない(なお、端末の販売数は同7.4%減の2546万台なので、単純に割ると携帯1台当たり約3万円で販売している)。

 このようにMNOにとっての端末販売は売上げを伸ばす主な手段ではなく、問題になっている2年縛り、4年縛りなどのサービスを提供して顧客の囲い込み、かつSIMロックを端末に組み込むことで加入者流出の防波堤としていると考えた方が自然だ。販売奨励金のコストも囲い込みで得られる通信費の収入を考えると安い投資なのだろう。

携帯電話ショップは至る所にある

 一方、香港は「Smartone」「csl.」「3HK」「中国移動香港(CMHK)」がMNOといっていい。この他にMVNOは乱立状態だ。香港のMNOも端末を販売しているが、日本ほど積極的に販売活動はしていない。香港人はそこで買うのではなく、家電量販店や個人経営の携帯ショップで買う人が少なくない。

 筆者も香港で通信会社を通じて携帯端末を買ったのは、初めて加入したときのみだ(まだ2Gの時代でノキア社製なので時代を感じさせるが……)。それ以降は、どこかの携帯ショップで買うことが大半を占めている。

 理由はMNOであろうが、家電量販店であろうが、個人の携帯ショップであろうが買える製品は同じで、メーカー保証も同じ。携帯ショップで買った方が間違いなく安く購入できるので、キャリアで買う理由が見当たらない。唯一、気を付けるのは並行輸入品がある点で、海外の携帯を香港に輸入して販売する事例が数多くあり、その場合はメーカー保証が効かないからだ。

スマホを修理に出しているお客

 さらに余談的にいえば、もし並行輸入品が故障した場合、携帯ショップか修理専用の店に持ち込めばいい。日本人は車も含め“純正”が好きで修理もメーカーにお願いするが、香港人は、あまり純正にこだわらない他、費用が安いので、修理する人が後を絶たない。そういう意味では、新規、中古のSIMフリースマホが増えれば日本でも修理店が増える可能性もあろう。

修理だけではなく電池の交換もしてくれる

 SIMフリーゆえ、香港にはナンバーポータビリティ(MNP)という概念すらないので気軽にキャリア移動ができる。

 筆者は数年前にcsl.からSmartoneに切り替えたが、そのときは、使用している端末と身分証明を持って新しく契約したいキャリアの店に行き、「加入したいんですけど……」と言うだけだった。解約金なども発生せず、新しく加入した後、自分で行う端末操作があるものの、簡単に終わった。つまり、香港のMNOは土管屋として事業を展開し、顧客は離れていくものを前提としてビジネスモデルを構築している。