なぜ、ホーカーセンターの店からオーダーが?

 大手ケータリング会社からの受注も追い風になった。大手食品製造会社であるSATS(シンガポール・エアポート・ターミナル・サービシズ)は30年前にカジワラ製品を輸入したシンガポール初のカジワラユーザー。そのSATSが新しくカジワラシンガポールから3台の加熱撹拌機を導入した。これが営業に効果的に働いているのだ。

「SATSでも使っていただいているという話はセールストークとして有効です。お客さまへの訴求効果は高いですね。シンガポールに販社を設けたことで、お客さまの近くでサービスできるようになった点も評価されています」(和才氏)

 その言葉を裏付けるように、シンガポールにおけるカジワラユーザーはそうそうたる顔ぶれだ。チリクラブで人気のシーフードレストランチェーンのジャンボ、パイナップルタルトが大人気の土産菓子店ブンガワンソロ、カレーパフ(カレーパンの一種)で有名なオールドチャンキー、チキンカレーを提供しているコーヒーチェーン・コーヒーハイブなど、加熱調理が必須な大手飲食店やメーカーの厨房に広く導入されている。

 娯楽が少ないシンガポールでは「食」はレジャーの1つ。あの街に店が新しくオープンした、その店はおいしかった、高かったなど、シンガポーリアンの会話は「食」を中心に回っているといっても差し支えない。当然、外食産業は活気を帯びている。これもカジワラシンガポールにとっては好材料だ。舌の肥えたシンガポーリアンを獲得したいという外食産業のニーズがカジワラシンガポールの成長を後押ししていることは間違いない。

 予想外の引き合いもあった。シンガポールで約200カ所のホーカーセンターに自社の店を展開している企業、チャンチェンからのオーダーだ。和才氏は言う。

「シンガポールは、MRTの駅ごとに巨大なアパート群(日本でいうマンション)が連なっていて、そこには必ず住民たちに食事を提供する大きなホーカーセンターがあります。ここでは中華やインド、タイ、マレーシア料理などさまざまな料理を提供していますが、それらの料理はどれもセントラルキッチンで作って運ばれているんですよ。家内工業的ではありますが、チャンチェンは200カ所のホーカーセンターの店舗料理をまとめて生産しているので、それなりの規模の施設ではある。ここで弊社の加熱撹拌機が店舗へ送る数々の惣菜の調理に使われています」

次に狙うのはナッツの文化がある中東への進出!

 インドネシアやタイ、フィリピンでもカジワラユーザーは着実に増加中だ。インドネシアでは大手レストランチェーンのチリソースの調理に活用され、タイでは日系の大手食品メーカーをはじめ、チリソースやインスタントラーメンを作るローカルの超大手食品メーカーなどの大口顧客を開拓している。東南アジアを代表するフィリピン発ファーストフードチェーン店も顧客の仲間入りを果たした。

 大型のショッピングモールのオープンが続き、外食産業が急成長している東南アジアのマーケット事情も有利な条件といえる。

「とりわけインドネシアは外食産業が台頭し、チェーン店が生まれ、人々の食生活が今、大きく変わっている段階です。日本食ブームもありがたい。ラーメンのスープを煮込むために使ったり、カレーや丼もののタレの調理に利用していただいたり、使用場面が広がっているからです」

 活気のあるマーケットを背景に、カジワラシンガポールの業績は着実に伸びている。とはいえ、8カ月待ちの納期は頭の痛い問題だ。「そんなにかかるのであればもういい」というお客も少なくない。受注増を受けて日本では工場を増床したが、納期を縮めるにはまだ時間がかかりそうだ。当面は、カジワラ製品を導入したらどんな効果が得られるのかといった利点を具体的にアピールし、「待つだけの価値がある」と顧客に納得させるのが一番の解決策だろう。

 納期問題を抱えてはいるが、カジワラ本社は中東への進出にも意欲を示す。4年前からはドバイで開催された展示会に毎年出展を続けており、手応えを得ているという。ナッツの文化がある中東は、加熱撹拌機のニーズが確実にある。ヨーロッパと違って規格が必要がないのも好材料だ。近い将来、カジワラ製品の舞台は東南アジアから中東にかけて大きく広がっていく可能性は大きい。