店舗の建築やレイアウトは米国に任せ、店舗運営も米国方式に倣ったが、問題は商品政策だった。米国のままの品揃えでは日本の消費者に受け入れられないことを強調するのもはばかられ、最大限日本で好評な商品を導入することを進言し、後はPOS(販売時点情報管理)データの分析が出た段階で修正を加えることとし、開店した。

 最大の問題点は米国と日本の客層が異なる点にあった。日本人が求めるトイザらスは、憧れの米国からやって来た大型で日本では手に入らない玩具がたくさんある子どもには夢の国のような店だった。米国本社が薦める低価格のプライベートブランド(PB)よりも世界的に知られているブランドの玩具がそろっていることに関心が向くお客も多かった。

 特筆すべきは米国で中断した「コンセプト2000」を「コンセプトジャパン」に変えて、愛知県の春日井店で導入したことだ。以後の新店はレーストラック型の主通路で、什器を低くして店内の見通しを良くし、旧店舗もリニューアルし全店新コンセプト店にしたことが、日本では顧客からの高い評価につながったのだ。

 現在の日本トイザらスは米国が85%、香港が15%を出資する香港法人の傘下に移行。黒字決算ではあるが、11年9月に全店舗の営業を停止した書店チェーンのボーダーズ。かつては書店のカテゴリーキラーとして人気を集めていた。

 往年の勢いは失われている。カテゴリーキラーという呼称はトイザらス進出時によく使われたが、今の日本ではマーケットシェアナンバーワンのトイザらスだけが呼称にふさわしい存在だ。

11年9月に全店舗の営業を停止した書店チェーンのボーダーズ。かつては書店のカテゴリーキラーとして人気を集めていた。

 日本に進出した米国のカテゴリーキラーの中にはアウトドア用品の「REI」やオフィス用品の「オフィスデポ」「オフィスマックス」など、既に撤退した企業も多い。スポーツ用品の「スポーツオーソリティ」は2年前にイオンが米国との合弁契約を解消し、イオンの独資で運営しているため、日本だけに残ることになったものだ。

 

 米国のカテゴリーキラーの破綻は家電の「サーキットシティ」(08年)、書店の「ボーダーズ」(11年)、「スポーツオーソリティ」(16年)、「トイザらス」(17年)と続き、この業態は既に役割を終えた感さえある。

進むべき方向性はメガストア化と趣味性の追求

メガストア化に対応しているスポーツ用品のディックス・スポーティング・グッズは生き残っているばかりか、好調な業績を残している。

 カテゴリーキラーの方向性の一つにメガストアへの転換がある。好例は「バスプロショップ」だ。小売業ナンバーワンのウォルマートの主力業態「スーパーセンター」の面積でさえも、アウトドアに特化したバスプロショップの面積には及ばない。この事実はカテゴリーキラーがいかなる小売業とも共存できることを証明している。

 この店に消費者が求める趣味性は元来時間消費を伴うもので、実店舗でその商品のプロ社員の指導を受けられること自体にも価値がある。

「ディックス・スポーティング・グッズ」にも同様の可能性があり、ホームセンターの「ホームデポ」「ロウズ」もここまで来る過程でメガストア化し、DSに対抗できる力を保持している。

 過去のカテゴリーキラーは、あるカテゴリーに特化して、豊富な商品種類と低価格を武器に量販型専門店で成功した。しかし今目指すべきはDSやEC(電子商取引)がなし得ない趣味性の追求や知識と体験で売る深い専門性を持ったカテゴリーのナンバーワンなのではないだろうか。

 

 

※本記事は『販売革新』2018年9月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。