今昔物語は平安時代の1059編の談話集。「今は昔」で始まり、「と語り伝えられる」と終わります。この連載では、ビジネスの世界で語り続けたい経営技術を『今昔物語風』に解説しようと思います。

 第1回はIE、IEはIndustrial Engineeringの頭文字です。日本語では経営工学と訳されることが多い経営技術です。

〈IEの歴史〉1910年、米国の製鋼会社で始まった

 IEのスタートは1910年、米国のミッドベール製鋼会社の工場職長であったテーラーの活動でした。作業効率が悪いのは作業者任せにしていることが原因と位置付け、時間研究を中心にした科学的管理手法の概念を考案しました。

 その後、ギルブレス夫妻による動作研究で動作種類の体系化とその分析手法、即ちサーブリック分析が確立され、IEの基礎が出来上がりました。

 日本ではIEを1940年代に日本能率協会(私の出身組織)が産業振興を目的に全国普及。当時は工場の作業改善の基礎技術として活用されました。

 現在ではトヨタのKAIZEN手法がIEといわれるくらいなっています。トヨタの改善の基本思想である『改善を進めるに当たり、問題を見えるようにする』『JITを実現するには、後工程が取りに行く』『カンバン方式でマネジャーが問題を先取りする』はIEの基本思想から考案されています。

〈現代のIE〉「こだわる」ことに特徴がある

 IEはワークメジャメントとメソッドエンジニアリングの2つ領域から構成されます。

 ワークメジャメントはテーラーの時間研究が出発点で、『測定の技術』といわれます。狭い概念ではタイムスタディ、標準時間設定の領域を指し、広い概念では現場のいろいろな事実、目標の見える化を指します。

 一方、メソッドエンジニアリングはギルブレスの動作研究が出発点で、『改善の技術』と言われます。狭い範囲では作業改善の原理を指し、例えば、動作経済の原則、前作業・本作業・後作業の原則等が代表的原則です。広い範囲ではPDCA、目標管理、業績管理等マネジメント技術の領域をいいます。

 IEは『現場にこだわる』『問題が見えることにこだわる』『計画にこだわる』『検証にこだわる』の特徴があり、以後の経営技術に大きな影響を与えています。

インターネットエクスプローラではありません

 IEというとインターネットエクスプローラをイメージする人が多いと思います。現にインターネットでIEを検索するとインターネットエクスプローラが一番に出てきます、また、自分の子供に聞いてもインターネットエクスプローラしか知りません。

 しかし、Industrial EngineeringとしてのIEはこれから経営技術を学ぶ若い人にとって、大変貴重な基礎技術となるはずです。ぜひ、IEに興味を持って、情報収集してみてください。