「踏み込んで大丈夫?」と思う2つの理由

 こうしてマクロ指標を眺めて見ると、本当に消費増税に踏み込んで大丈夫なのかという気になる。

 今回紹介した図では示していないが、社会保障費と消費税収はしっかりと伸びている。消費税収は2000年に9.8兆円だったのが2014年の増税を経て2016年には17.2兆円と1.76倍。もっとも増税の大きな目的には、膨らむ社会保障などの財源確保の狙いもあるのだろうが、消費心理として消費抑制という行動の制御が働いてしまう方に不安を覚えるからだ。

 もう1つの理由は10%という計算しやすい税率。今までは3%とか8%を明確に計算しながら買物をしていた人がどのくらいいただろうか。人間の行動に「複雑と思われる計算は簡単に諦めてしまうこと」がある。それより明確に提示される配送料を負荷や損失と感じる人の方が多いように思える。それが今度は10%という計算のしやすさから「消費増税」への警戒感がより強まりはしないかという点を指摘しておきたい。

 現在、多くのディスカウント衣料品チェーン店の多くで採用されている税抜き表記。これは税負担をイメージさせず、安さを強調しやすいテクニックとして広がっている。この総額表示義務に関する特別処置法は2021年3月末日までは有効なので、今回の増税についての影響は少ないと予想する。だいたい総額表記と税抜き表記が市場で混在していること自体、とてもフェアとは思えないが、そこも商魂と捉えられてしまうのだろうか。いずれにしても増税感をイメージさせない施策、取り組みが望まれるところだ。

 1989年に税率3%で導入された消費税は、1997年に5%、2014年に8%と7~8年のタームで引き上げられてきた。今回は当初10%への引き上げを2015年に予定していたものを、2度に渡る景気判断(景気弾力条項の規定より)から先送りして、来年に施行されるといった経緯を辿った。2020年オリンピックに向けてひた走る日本経済に向かってとんだ冷や水にならないことを祈りたい。