厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第12話 時間に追われる妻・麻実の目線

 朝は一番バタバタする時間だ。保育園に持っていく補充用のお着替えストックを頭に思い浮かべながら、朝ごはんを準備する。

 夫が朝ゆっくりトイレにこもっている間に、早く早くと娘の芽衣を急いで起こして着替えを促す。ごはん、歯磨き、トイレ。今日は天気予報が晴れだから、洗濯物も干してから出掛けたい。仕事に出るから自分も身支度を整えないわけにはいかないけれど、正直メイクをする時間すら惜しい。

 毎日やることは山積みで、芽衣がこぼした牛乳を拭いたり洋服の袖に付いたケチャップをぬぐったりと、タスクが増えることはあっても減ることはない。最後に自宅で温かいコーヒーを飲めたのは、いつだったろう?

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 夫の陽一の勤務先は私よりも遠いため、芽衣の保育園の送迎は私がメインとなっている。そのため、私が夜に予定を入れたい日には、事前に「お伺い」が必要となる。

「この日は仕事で遅くなりそうだから、お迎えお願いできるかな?」

「週末に久しぶりにこっちに帰って来る友達と飲みに行きたいんだけど、早く帰って来れるかな?」

 夫婦ともお互いサービス業だから、土日休みの友人と会うために予定を合わせるだけでも大変だ。もちろん、陽一はいつも快く芽衣のお迎えや世話を引き受けてくれる。でも、気楽に残業も飲み会も当日のLINE1本で行ける陽一を見ていると、事前に聞かなければ自分のスケジュールも立てられない状況にはどうしてもモヤモヤする。

 ここまで慎重に根回ししても、当日家族の誰かが体調不良で予定がパー、ということは何度もある。

 陽一の職場にはパパ、ママがいるけれど、私の職場には独身ばかりなことも気をもむ一因かもしれない。休みや早退をするのが大抵、私なので、どうしても目立ってしまうのだ。

 娘が入院したときには付きっきりの看病が必要となって、仕方ないとはいえ、どうやって会社に伝えればいいのか何度も何度もシミュレーションした。職場で理解を得ているとはいえ、同僚にも上司にも無理をいって休ませてもらって、申し訳なさしかなかった。

 子育てをしながら働くことは、常に不測の事態が起こる可能性を秘めているから、いつも周りの目が気になってしまう。

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 1日中、時間に追われている気がする。

 本音としては1秒でも早くお迎えに行って夕飯の準備に取り掛かりたいけれど、ただでさえ短時間勤務で帰ったり特別に日曜休みをもらっているので、なかなか「定時なのでお先に失礼します」とは言いづらい。

 ついつい便利な宅配スーパーに頼るので、食費はかさむ一方だ。スーパーに行って、お買い得品を探しながらゆっくり買物をするのは夢のまた夢だ。逆算するだけでも帰宅時間が遅くなれば、夕食とお風呂の時間が遅くなり、寝る時間が遅くなる。体調を崩す悪循環に陥ってしまうのは、何としても避けなければならない。

 もっとちゃんと働きたい。そのために、早く帰りたい。

 相反した2つの思いを抱えて心が疲れる日々を、乗り越えられる日はくるのだろうか?

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>第13話 webメディアディレクターの夫・晃弘の目線

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