当社主宰SPAC研究会では毎年9月に最新の出退店事情を検証しているが、ECが消費の主役となる中、アパレルチェーンの状況は日米共に一段と深刻化しており、出るも地獄、退くも地獄という様相を呈している。

出店より退店が多くて正解!

 退店ラッシュとなった15〜17年のピークは過ぎたものの、15年以降は出店より退店が多い状況が続いている。SPACメンバー企業の回答(毎年8月末締め)では出店も退店も急減しており、退店率はピークだった16年の143.4ほどではないが、17年は115.2、18年も124.4と退店が上回る状況には変わりなく、新規出店は抑制されている。

 退店の方が多いのはテナント出店型上場アパレルチェーン(7社計)とて同様で、退店率は15年の191.6をピークに16年は141.3、17年は101.3と退店ラッシュは沈静化しているが、退店の方が多い状況には変わりない。SPACメンバー企業と違うのは出店数が16年、17年と回復基調にあることで、これが危ない兆候だ。

 

 米国の株式上場アパレルチェーン(8社計)では14年に退店が出店を上回って以降、出店が右肩下がりに急減する一方で退店は高水準を継続しており、退店率は14年が111.8、15年が144.5、16年が169.9、17年は326.2(退店数が出店数の3倍以上!)と右肩上がりに上昇している。その一方で直近の業績は回復に転じているが、それは不採算の店舗を撤収して好採算のECを拡大しているからで、閉店ラッシュは一時退避ではなく戦略的な販路資産入れ替えだと分かる。実際、店舗部門とEC部門の損益を分けて決算報告しているチェーンではルルレモン・アスレティカのように営業利益率が倍も開くケースが見られ、店舗部門も伸びているのに店舗網は縮小に転じている。

 国内アパレルチェーンの出店が回復しているのは喜ぶべき兆候ではなく、負の資産を積み増して将来に禍根を残すハイリスク行為と見るべきだ。