パーティなど人が集まる場所に、片手で食べられるおやきは最適。イベントへのケータリング、5000円以上の注文でデリバリーも可能。

信州の郷土料理として知られる“おやき”は、小麦粉やそば粉をこねた生地で、野沢菜やカボチャ、ナスなどの餡を包んで蒸し上げる、おまんじゅうのような伝統食。古民家の囲炉裏端でおばあちゃんがのんびりとおやきを焼いているような、素朴なイメージが浮かぶ。そんな「おやき」の、東京でおそらく唯一の専門店が、新宿にある『おやきカンパニー』だ。

『おやきカンパニー』の場所は新宿御苑のすぐ近く。窓越しに緑が広がり、自然光がたっぷりと差し込む爽やかな空間は、ヘルシーなおやきのイメージにぴったり。

 お客は店の公式ホームページやFacebookを見たり、口コミで訪れる人がほとんど。ベジタリアン、ヴィーガン対応のおやきもあり、外国からの観光客もよく訪れる。

体調をリセットしたいとき、食欲がない日にも最適な「すごいお野菜スープ」750円。ベジブロスで作るスープに、野菜や豆など10種類以上の素材が入る。

『おやきカンパニー』では常時3~4種類のおやきメニューを用意し、価格は1個500円前後。

 定番の「野沢菜きのこ」をはじめ、「タケノコ麻婆」「梅しそズッキーニ」「栗と白味噌」など季節の野菜のおやき、長野産の鹿肉を使った「ジビエおやき」、スイーツ系の「橙カスタード」「りんごカマンベール」と、オリジナリティあふれるラインアップ。具材がたっぷり詰まったおやきは、既存のおやきにはない自由な食材の組み合わせがユニークだ。

体調をリセットしたいとき、食欲がない日にも最適な「すごいお野菜スープ」750円。ベジブロスで作るスープに、野菜や豆など10種類以上の素材が入る。

 おやきのサイズは直径15センチほど。せいろで蒸し上げた出来たて熱々はもちろん、冷めても固くならないため、テイクアウトでもおいしく食べられる。1個で満腹感があり、朝食や軽めのランチ、夜食にもちょうどいい。

 他にも、「玄米おにぎり」「すごいお野菜スープ」などのサイドメニュー、ドリンクは「甘酒スムージー」「酵素ドリンク」「無農薬ほうじ茶」と、身体にやさしい素材を使った健康的なメニューがそろう。

おやきは「ファストフード」でありながら「スローフード」

笑顔が素敵な野村さん(ノムさん)、小松さん(トモさん)。日々頑張って仕事をしている忙しい女性たちにもヘルシーなおやきを届けたいという。

『おやきカンパニー』を営むのは、野村良子さん、小松朋世さんの2人の女性。野村さんが接客を、小松さんが料理を担当し、常連客からは“ノムさん・トモさん”のコンビで親しまれている。

 店のコンセプトは「片手であじわう 日本の〇(まる)」。100パーセント国産の素材を使い“日本が世界に誇れるファストフード”としておやきを提案している。

 おやきの専門店を始めた理由は「片手で手軽に食べられて、日本の食材で作る“日本版ハンバーガー”のような食べ物……と考えたら“おやき”がひらめいたんです」という野村さん。

おやきの材料には、地域の在来種の野菜も使われる。飛騨高山の「つばさきゅうり」「国府なす」「鳩ごろし豆」などの伝統野菜が入ることも。

 おやきのレシピ開発も担う小松さんは「日本人が昔から食べてきた漬物やみそなどの発酵食品、野菜、雑穀をたっぷり摂取できるのが“おやき”。コンパクトな中に栄養のある食べ物がギュッと詰まっていて、忙しい人の食事にもおすすめです」と語る。

 おやきの生地に使う小麦粉は、茨城県産他3種類の国産小麦をブレンド。野菜はオーガニックの八百屋の他、飛騨高山の「野村農園」、東京西多摩郡瑞穂町の「きりり農園」など各地の生産者から仕入れている。調味料は昔からの伝統的な製法で醸造されるみそやしょうゆ。

新宿二丁目に建つレトロなビルの2階にある『おやきカンパニー』。イートインもできるが、テイクアウトして新宿御苑で食べる人、手土産に買っていく人も多い。

 2人が吟味した食材は、無農薬や減農薬、有機栽培といったオーガニックなものがほとんど。自分たちの味覚や感性に合う食べ物を探した結果、自然と身体にいいものを選んでいたという。

「その土地のいいエネルギーが詰まった食べ物からは強い生命力を感じます。野菜の姿かたちや味には、生産者さんの人柄も表れる気がします」

 おやきの材料となる野菜や生産者について、生き生きとした表情で語ってくれる野村さんと小松さん。明るくてフレンドリーな接客、お客のこちらも元気をもらえそうな爽やかな人柄が魅力的だ。