全社的リストラの一環

 L.ブランズ社は主力の「ビクトリアズ・シークレット」が米国女性のセクシー離れとアスレジャー志向で業績が陰っており、カジュアルラインの「PINK」もアメリカンイーグルの「Aerie」に圧されて不調で、「バス&ボディワークス」は堅調とはいえ全社業績も頭打ちになっていた。「ビクトリアズ・シークレット」の不調にはマーケットとのギャップやマーチャンダイジングの失策のみならず、創業期からのカタログ販売を16年まで引きずってEC時代のスピード感から取り残されたことも大きく、ようやく17年の第4四半期からECが加速している。

 そんな事情で事業の再構築が急がれる中、損失を垂れ流すお荷物事業を清算する必要に迫られたと見られるが、ヘンリ・ベンデル事業はL.ブランズ社の売上げの0.7%にも届かず、損失額は営業利益の2.6%にすぎない。ゆえに、このニュースが昨年末から55%も下げたL.ブランズ社の株価に及ぼしたのは2.31%のダウン(28.09ドル⇒27.44ドル)でしかなく、翌14日には28.97ドルと戻している。株式市場は些細な「ヘンリ・ベンデル」より「ビクトリアズ・シークレット」など中核事業の再構築を迫っているのだろう。

 

それでもブランド価値は高い

 店舗もECサイトも閉めても「ヘンリ・ベンデル」のブランドは消えない。L.ブランズ社のビジネスはうまくいかなかったが、一時ほどではないにしても米国内のみならずわが国でもアジアでも「ヘンリ・ベンデル」は人気で、BUYMAなど転売サイトにはベンデル・ストライプの雑貨などがあふれ、専門店さえ存在している。閉店報道が広がれば「ローラ・アシュレイ」同様、転売バイヤーが殺到して来年1月末を待つまでもなく在庫が尽きて開店休業状態になってしまうのではないか。

 行き詰まったのは「ローラ・アシュレイ」同様、ビジネスのプラットフォームであってコンテンツ(ブランド)ではない。オムニチャネルなプラットフォームを確立してグローバルに販売する事業者にとっては格好の商材だから、事業または権利を買い取ってリ・ブランディングすれば容易に10億ドル級のビジネスに化けるに違いない。

「ローラ・アシュレイ」は伊藤忠商事が引き継ぐが、「ヘンリ・ベンデル」はどこが引き継ぐのだろうか。できるならライセンスの切り売りではなく、トム・フォードによる「グッチ」の再生のようなラグジュアリーの王道を見せてほしいものだ。

【撮影】小島健輔