【撮影】小島健輔

 ウォール・ストリート・ジャーナルやビジネスインサイダーが伝えるところによると、「ビクトリアズ・シークレット」や「バス&ボディワークス」を擁するL.ブランズ社のレスリー・ウェクスナー会長兼CEOは9月13日、「ヘンリ・ベンデル」の全23店舗とECサイトを来年1月末に閉鎖すると発表したそうで、全米のみならず世界の「ヘンリ・ベンデル」ファンをがっかりさせている。ラルフローレンやロード&テーラーに続いて、あのモダン・アールデコスタイルの美しいストアまで消えれば、5番街も寂しくなってしまうのではないか。

大幅赤字のお荷物事業だった

【撮影】小島健輔

「ヘンリ・ベンデル」はL.ブランズ社がまだアパレル中心のLimited.Incだった頃(『伸びる企業は化ける企業』)のイメージリーダー的事業で、91年3月に開店したNY5番街714の旗艦店は1913年に開店して80年代前半のレーガノミクス・バブル期まで人気を集めたラグジュアリーセレクト「HENRI-BENDEL」を85年に買収して移転増床再生したもの。開店当初は華やかなアールデコ様式のストアデザインと美術的なVMDが世界中の注目を集めた。

 ベンデル・ストライプの化粧ポーチなど小物雑貨や服飾雑貨は観光客などにも人気を博したものの、アパレルのマーチャンダイジングには初期から試行錯誤し、近年は90年に布石したボストンやシカゴなどの大型店を次々と閉めてアパレルから手を引き、SCや空港内のギフトショップ的な展開に甘んじていた。18年の売上げ見通しは約8500万ドルにすぎず、4500万ドルの営業損失を見込むお荷物事業になっていたから、主力の「ビクトリアズ・シークレット」が不振で業績が停滞するL.ブランズ社としてはやむを得ない決断だったのだろう。

【撮影】小島健輔

 撤退費用は見積り中だが、定期借家契約期間の残存期間家賃全額保証という米国の出店契約を考えれば、17年4月に5番街旗艦店を閉めて3億7000万ドルの損失を計上したラルフローレンの事例が頭に浮かぶ。5番街の一等地にあれだけの店舗を維持するレントを察すれば4500万ドルの営業損失の大半は5番街旗艦店で生じていたに違いないが、それを閉めるとなると桁違いの特別損失が発生する。そっちの方がダメージが大きいのではないか。