イオンスタイル仙台卸町の外観。卸町は卸売業が集まり、近くに仙台市中央卸売市場もある市の流通拠点ともいえるエリアだ。

 イオンリテールは仙台市にイオンスタイル仙台卸町を15日開業した。イオンスタイルが出店するのは宮城県では初めて。同店はいわゆる箱型のGMS(総合スーパー)だが、70店近い専門店を導入し、1~2階の吹き抜けなど開放的な空間・環境演出によってコミュニティショッピングセンター(CSC)に近い上質なつくりになっており、今後、中規模商圏に出店するモデル型店舗になるかもしれない。同社が箱型GMSを新規出店するのは3、4年ぶりのことだ。

 南東側テラスの外観は仙台と卸町のシンボルでもある「ケヤキ並木」をイメージし、正面入り口の吹き抜けも「ケヤキをモチーフにしたデザイン」(岡崎双一社長)で、店舗の上に大きな看板がでんと構える無機質な旧来型の箱型GMSとは一線を画している。

1階のメインエントランス。2階までつなぐ大きな吹き抜け空間は従来の箱型GMSのイメージを変える。

その場で食べられる東北最大級の食のフロア

 基本商圏は車10分圏内の約7万4000世帯、約15万人。30代~40代の子育てファミリーを主力ターゲットに設定している。

フードコートの「杜のオアシス」。右手は隣接する惣菜売場。出来たてをその場で食べるイオンの「ここdeデリ」の考え方との融合を図る。

 1階は「卸町マルシェ」と呼ぶ生鮮食品を中心とした食料品売場に隣接して充実した惣菜売場と食物販の専門店、14店・約700席のフードコート「杜(もり)のオアシス」を設け、約6300㎡という東北最大級の食のフロアを構築。売場で購入した惣菜や弁当もその場でも食べられるようにした。

 惣菜では対面形式の「リワードキッチン」、店内の石窯で焼き上げる「ピッツァソリデラ」、東北初となる手作りサンドイッチ「デリサンド」といったユニットを導入。牛タンカレーを自分で盛り付けるカレーバーを設け、男性客を中心に人気を集めている。

 青果ではJA仙台と組んで仙台近郊で採れた野菜を提供。近隣に立地する仙台市中央卸売市場から直送の野菜や果実を「仙臺(せんだい)いちば」名で展開する。オーガニックコーナーも設けた。鮮魚では宮城前浜の主要漁港(女川港、石巻港、塩釜港)から仕入れた「地獲(ど)れ鮮魚」「朝獲れ鮮魚」を対面コーナーで販売している。塩釜港から直送の生まぐろをメインに「まぐろのすべて。」を東北で初めて導入した。

対面形式でローストビーフやサラダなどを販売する「リワードキッチン」(左)は女性客の購入率が高い。右は東北では初お目見えの野菜が多い手作りサンドイッチを提供する「デリサンド」。
仙台市場直送の果物、野菜を展開する「仙臺いちば」は「計画以上の売れ行きだ」と川澄幹浩店長は話す。
福島の会津や青森など東北地方の産地を含むオーガニック野菜、果実をそろえるオーガニックコーナー。
鮮魚の対面コーナー前にワゴンを出して石巻漁港からその日に届いた「朝獲れ鮮魚」を販売していた。

衣料品は圧縮、子供と暮らしの大型売場も

2階の「グラムビューティーク」の平場部分ではテーマ別にゾーニングしたコスメや雑貨を展開。「平日は仕事帰りのビジネスウーマンが夕方に多く来店している」(川澄店長)という。

 2階は女性客がターゲット。美と健康の専門ショップ「グラムビューティーク」と婦人衣料、肌着売場を同じフロアで展開する。イオンリテールの直営売場と境目なく融合させた専門店ゾーンには「アメリカン ホリック」「サマンサ モスモス ケイッティオ」「ハニーズ」といったカジュアルショップが並び、イオンリテールの衣料は売場面積を最小限にとどめ、平場での展開に特化している。

同店の周辺にしっかりした品揃えをする店が少ないことから、インナー売場の売上げが好調だという。
エレベーターの上り口に配置されたストライプインターナショナルの「アメリカン ホリック」。

 3階はキッズと暮らしのフロア。ベビー・マタニティ用品からおもちゃやギフト用品までそろうイオンのベビー・キッズの大型専門店「キッズリパブリック」と寝具やインテリアなど住まいに関する商品を統一されたテイストで展開する「ホームコーディ」が核になる。いずれも宮城県には初めて出店。両者は「分社化を視野に入れている」(井出武美取締役執行役員副社長)。

3階の核となるベビー・キッズの大型専門店「キッズリパブリック」。子供連れのママが来店し、乳幼児の衣料や雑貨、知育玩具が売れている。
「ホームコーディ」。寝具やインテリア、収納、バストイレ用品から履物、タオル、キッチン用品まで住まいに関する商品を一堂に展開する。

 同店では「キッズリパブリックオンラインショップ」に加え「イオンスタイルファッション」「イオンスタイルホーム」「グラムビューティークウェブストア」といったインターネットショップで注文した商品を店舗のサービスカウンターでも受け取れる店舗受け取りサービスを実施、オムニチャネル対応を進めている。また店舗で購入した商品を当日中に自宅まで届ける有料のサービスも実施。フードコートでは14店のうち11店でアプリを使えばスマートフォンでレジに並ばずに注文できる仕組みも導入した。

 イオンスタイルはお客のライフスタイルに合わせた専門性の高い商品とサービスを提供し、地域に合わせて規模や形を変えていくフォーマット。同店は62店目。これまでモールを中心に出店してきたが、一部は箱型GMSの形態でも出店している。

 ただ昨年9月に開店したイオンスタイル豊田(愛知県豊田市)は建て替えで、同11月のイオンスタイル検見川浜(千葉市)は旧イズミヤ検見川浜店に居抜き出店したもの。今年3月に開店したイオンスタイル君津はイオンタウン君津という近隣型SC(NSC)に出店したもので、業態としてはスーパーマーケットといえる。箱型GMSを新規出店するのは3、4年ぶりになる。

  • 商業施設名/イオンスタイル仙台卸町
  • 所在地/宮城県仙台市若林区卸町1-1-1
  • 敷地面積/約1万9235㎡
  • SC面積/約1万8458㎡
  • 階層/売場1~3階
  • テナント数/67店
  • 開店日/2018年9月15日
  • デベロッパー/イオンリテール
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