惣菜売場では対面販売コーナーを設置。対話を重視した売場づくりの一環だ。量り売りサラダやキッシュの他、鉄板メニューや焼き鳥などを販売する。

 10月20日にオープンした大久保駅前店は、マルエツでは久々の大型店の出店となった。2016年1月に閉店した旧店を建て替えリニューアルし、売場面積は599坪を確保。マルエツが16年4月から約1年半にわたって取り組んできた「新しい店づくり推進プロジェクト」の具体的な成果でもある。

全体に貫かれているのが「即食」の強化。鮮魚では刺身だけでなく、カルパッチョのようなサラダ的な即食商品をコーナー展開する。もちろん、惣菜の寿司とは別に、鮮魚部門の寿司も展開。

 店長も兼任する新しい店づくり推進プロジェクトの吉田雅彦部長は、「上田真社長から『マルエツらしくない店をつくりたい』という話があり、専任2人、兼任6人の合計8人で日本全国の約200店を見ながら、大久保駅前店をどうするか考えてきた」という。

鮮魚と精肉でも、各部門の素材を用いるなど専門性を生かした温惣菜を展開する。2部門で共用する温惣菜の調理のための部屋をバックヤードに設け、焼き物、揚げ物を製造。売場でも隣接して展開する。

 その結果、同店のコンセプトを「活気に満ちあふれ、お客さまの買物スイッチが入る店」とした。売場先頭にカウンターを設置して「お客さまご案内係」を配置したり、各売場でも対面販売の要素を強めた対話コーナーを多数設置したり。イートインコーナーもマルエツとしては大規模となる60席用意した他、奥には多目的スペースも設け、セミナーなども催せるようにしている。
 もちろん、活気を生み、買物スイッチを入れるための取り組みは、ハード面や売り方だけではない。商品面でも、大型店の強みを生かして壁面を中心に生鮮食品・惣菜のマーチャンダイジング(MD)を大幅に進化。生鮮・惣菜の売上高構成比では、「55%」という高水準を目指す。
 目立つのは、生鮮全部門にわたる「簡単便利」「即食商品」の強化だ。これまで十数店で実験的に展開してきた鮮魚、精肉の惣菜を大々的に展開。同時に、惣菜売場でも弁当バイキングや対面販売といった新たな売り方を取り入れながら、これまで同社が取り組んでこなかった量り売りサラダ、キッシュ、鉄板焼きメニューなどにも積極的に取り組んでいる。
 上田社長は、今回の店をつくった背景を次のように説明する。「首都圏という非常に恵まれたマーケットで商売しており、今は品揃え重視である程度のニーズを吸い上げることができている。ただ、今後は大きなマーケット変化が予想されるので、新しいスタイルをつくっていかなくてはいけない」

マルエツでは大型店であっても、プロセスセンター活用を中心とした運営を想定。精肉では牛、豚、鶏など全面的にセンター活用が進む。背景には、今後、人手不足の状況はさらに深刻化するという認識がある。

 ただ、これが、現在一部企業で推進されている「小売りと外食の融合」、あるいは「グローサラント(グロサリーとレストランの複合語)などと呼ばれているMDにつながっていくのかといえば、そう簡単な問題でもないという。

駅前立地だが、近隣にSMの競合は少ない。そのため、旧店閉店中は、近隣のマルエツの店への無料シャトルバスを運行。1日に60~70人、特売の日には約120人の利用があったという。

 上田社長は、「巷では即食とスーパーマーケット(SM)の一体型のグローサラントが究極のSMの形だと一部で言われているが、即食と物販は全くオペレーションが違う。むしろ、外食オペレーションノウハウをこれから研究しなければいけない。(グローサラントの)生活シーンが増えてくるだろうとは推測できるが、まだそこまでは至っていない」と率直に語る。
 そうは言いつつも、ここで検証した成果は、今後の既存店にも生かしていく意向だ。その視野の先にはもちろん、グローサラント的な店づくりも入っているだろう。
 同店は京成本線の京成大久保駅前に立地するが、700m圏内の主な競合店としては小型のディスカウントストアが数店ある程度で、逆に買物には若干不便するような立地だった。そのため、特に若年層を中心に消費は流出しており、旧店のお客は近隣の高齢者が中心となっていた。今回の新しいMDによって、流出していた若年層を呼び戻すことも狙うが、その意味では全方位のテストマーケティングには最適の店だと言えるかもしれない。

所在地/千葉県習志野市大久保1-11-20
開店日/2017年10月20日
売場面積/599坪
目標年商/23.7億円
営業時間/9~22時

地図エリア