英バーバリー社が昨年度だけでも2860万ポンド(42億円)に上る売れ残り在庫を焼却処分したことが環境保護派などから非難を浴び、廃棄処分の即時中止に追い込まれたが、売れ残り在庫に押しつぶされそうな大多数のファッションブランドにとっては雲の上の騒動に思えるに違いない。焼却処分は税金対策にも使われるぐらい、売れ残り在庫の処分方法としては最もぜいたくな選択だからだ。

焼却処分は最善の選択

 売れ残り在庫はアウトレットやフラッシュセールサイトで処分するか在庫転売業者(バッタ屋さん)に流して少しでも換金したいものだが、いずれも安値で消費者に流れてイメージを損なうリスクがある。バッタ屋さんに流す場合はタグを切り取ったり(洗濯タグは残す)、海外輸出を約束させるなどしているが、海外の仕分け基地から還流するのは止められない。再流通を阻止するには焼却処分が確実だが、全損処理になるから利益にゆとりがないと踏み切れない。

 バーバリー社はコスト構造改善のリストラ中でラグジュアリーブランドとしてはボロ儲けという状況ではないが、18年3月期は27億3300万ポンド(4045億円、前比−1.2%)を売り上げて4億1030万ポンド(607億円、前比+4.0%)、売上対比15.0%の営業利益を稼いでいる。2860万ポンドは期末在庫の7%弱に相当し、うち1000万ポンドはコティ社とのライセンス終了に伴う香水・化粧品の在庫だとされる。

 価格帯は大きく異なるがH&Mも昨年、デンマークで毎年12トンほど売れ残り衣類を焼却処分していることがテレビ報道されて『サスティナブルじゃない』と非難されたが、年々不振在庫が積み上がるH&Mは処分を急がざるを得ないのだろう。誰にも迷惑をかけるわけではないのに、そんなことまで非難する風潮は不寛容に過ぎるのではないか。

 H&Mの売れ残り在庫は多くの低価格SPA同様、引き取り業者では繊維原料以上の値がつかないから焼却処分という選択になるが、バーバリーの売れ残り在庫は相応の再流通価値があるからこそ焼却処分せざるを得ない。同じ焼却処分でも理由は正反対なのだ。

 高級ブランドの売れ残り品処分は転売を防ぐためと税金対策のために焼却処分が一般的だったが、近年はアウトレットやフラッシュセールサイトで公然と売られることが多くなった。そんな中であえて焼却処分するバーバリー社は正価で買ってくれた顧客への義理を通す誠実さが賞賛されてもよかったのではないか。