川越に外国人観光客が増え続けていることに気付く

お客さまのお取引の接待等で外国人客の利用が見られる

 この頃の同店は、法人だけではなく、他の需要を模索していた。

 また、川越で140年間商売を継続していることから、地元に恩返しをしたいという思いも募っていた。「これからの100年を見据えた経営をしよう」と模索していた中で、清成氏からハラール対策を勧められたことを「大きなチャンスなのでは」と長島氏は感じるようになり、フードダイバーシティ株式会社(連載第1回で紹介)の社長、守護彰浩氏と知己を得て、セミナーなどで同社の考え方を聞くに及び、食についての価値観が大きく転換していったという。長島氏はこう語る。

「ムスリムにとって食べられるものが限られていることを知りました。食に禁忌を持つ人に対応することは、外国人観光客に川越に来ていただくことをアピールする上でとても重要になるのではと思うようになりました」

 また、川越市の観光客の動向にもひらめくものを感じた。

 川越市のデータによると、川越市への入込観光客数は、2005年あたりから増えてきて、年間500万人から600万人、そして2016年は700万人を突破。しかしながら2017年はそれより40万人が減少して660万人となった。

 それに対し、外国人観光客は2014年より増えていき、2014年7万7000人(前年比71.1%増)、2015年11万9000人(前年比54.5%増)、2016年17万1000人(前年比43.7%増)、2017年19万7000人(前年比15.1%増)。

 筆者はこれまでインバウンドが多く訪れるさまざまなポイントを訪ねてきたが、川越のインバウンドの特徴は国や人種に特定の傾向がないということだ。東アジア、東南アジア、欧米系と満遍なく訪れている。

川越が抱える「日帰り観光地」という課題

ハラール対応のメニュー

 2017年の入込観光客数が40万人も減ったことと外国人が増えてきている要因についての長島氏の分析はこうだ。

「川越は日帰り観光地ということです。川越観光を予定している人が、その日の天候が良くないと『別の天気の良い日に行けばいい』と諦めがちです。しかしながら、外国からの観光客の場合は天気の状態がどうであっても予定通りに行動します。また、行政は川越の観光客の全体目標を1000万人と掲げています。当店の客数が天候要因に左右されないためにも、お客さまの数を増やすには外国人のお客さまにおもてなしをすることです」

 そこで長島氏はフードダイバーシティ社の守護氏からの次のようなアドバイスを受けて大きく感化された。

「ムスリムはこれから世界で最大の人口を占めることになります。恐らく日本への観光客はどんどん増えていきます。それに対応するには、決して新しいことに取り組む必要はなく、今できていることを情報として開示するだけでいいのです」

 

 そこで、認証を取るための新しい取り組みを行わず、ムスリムフレンドリーという情報開示型でムスリム対応を行うようになった。そのために「ムスリム対応ポリシー」をまとめた。

 また、同じエリアにムスリム対応している店が1店だけという「点」での取り組みではムスリムを呼び込むことは難しいと言われた。その後、同じエリアで鉄板焼き店がムスリムフレンドリーを始めたことから、点が「線」に。そして今、「面」にする取り組みが行われている。