Shoichiの倉庫写真

 食料品には賞味期限があって日時が印字され、その期限の3分の1を過ぎると小売店に納品できなくなり、3分の2を過ぎると店頭から返品されるという商慣習が定着している。業界でいう「3分の1ルール」というやつで、3分の1が納品期限、3分の2が販売期限ということになる。

 そのせいで出荷額の1.5%がメーカーや卸業者に返品されるそうだが、返品された食品を再流通させる仕組みもあって最終的な廃棄率はコンマ以下と低い。店舗段階でも日配・加工食品の廃棄率は平均してコンマ以下、生鮮でも値引きと廃棄で10%が目安と報告されている。

 食品と比べればアパレルの消化率は格段に低く再流通の仕組みも限定的で、最終廃棄率は近年は過半を超えている(今年上半期は53.4%)。衣料品にも賞味期限があるはずだし、納品や返品の期限についても商慣習があるのだろうか。

※食品の廃棄率については2015年の流通経済研究所調査、2013年の日本スーパーマーケット協会調査などを参考にした。

衣料品の賞味期限

 未使用の衣料品は保管に気を付ければ数年は劣化せず食品のような品質上の賞味期限はないが(化粧品は未開封で3年以上の品質保持を薬事法が規定)、リセール市場で値段が付くのはよほどの人気ブランドやヴィンテージを除けば一般に3年間とされる。中古衣料の買い取りでも『販売から3年以内』と断っている店が多い。それは品質というよりトレンド的な賞味期限で、新品で購入しても人前で着られるのは3シーズン目ぐらいまで、という実感とも符合している。ディティールはともかく、フィットが変ってしまうからだろう。

 販売サイドから見れば、店頭では定番的な商品はともかく季節商品は8週間が見飽きない限界というのが経験則だ。これを過ぎると値引きして売り切るかいったん、売場から引き上げるのが業界慣習になっている。売場が狭く陳列量が限られる百貨店のインショップでは4週間で引き上げるケースも珍しくない。8週間というのは一般論で、鮮度を売り物にする店では4週間が限界のようだ。生鮮食品など日サイクルだから4週間とてファストとはいえず、韓国では週サイクルに回す小規模なキャリーSPAも多い。

販売期限が過ぎたら

 生鮮や弁当は当日、加工食品は数日から1週間程度、ドライグロサリーは数カ月の賞味期限を残さないと販売できないが、衣料品では4週間以上の季節的着用期間が必要とされる。その時点が食料品でいう「販売期限」なのだろう。

 業界は売れ残りを恐れて販売期間を前倒そうという“本能”に流されがちだが、SPACメンバーのアンケートによれば前倒そうと後倒そうと実売時期は変わらず、下手に前倒して投入すると見飽きて鮮度が劣化し、実売時期前に値引きする羽目になりかねない。

 メンバーアンケートでは実売時期前に平均4週間の提案認知期間を要しており、4週の提案期と4週の実売期、計8週でフェースを入れ替え、売れ残った商品は値引き処理したり2次処分店に回したり、ブランドアパレルでは倉庫に引き上げて期末セールやファミリーセールまで保管するというのが一般的だった。“だった”というのは、昨今では期中にアウトレットに回したり、ECに回してクーポン販売で早期換金することが多くなったからだ。