入り口を入るとラウンド冷蔵惣菜什器が視界に飛び込む。ランチ用の弁当や米飯類、パック麺、おにぎりなどが並ぶ。

 東急ストアはデリカを中心に展開する狭小店舗のグローサラント型新業態「プレッセ シブヤ デリマーケット」を東京・渋谷に9月13日に開業する大規模複合施設「渋谷ストリーム」の2階に同日オープンする。

 同社が展開する従来型のスーパーマーケット(SM)とは異なり、生鮮食品は扱わず、デリカの対面販売を中心に酒、ドリンク、デザート、菓子などの即食商品に品揃えを特化。イートインコーナーを併設し、若い女性など渋谷への来街者やインバウンド(訪日外国人)客、館内や周辺オフィスで働く人をターゲットに、時間帯に合った食シーンを提供する。

山形美憲常務執行役員営業本部副本部長兼商品統括室長。

 同店の売場面積は50坪で同社店舗の中では最小規模。コンビニよりもやや大きい程度で、オフィス街に立地する高品質なデリカを中心とした超小型業態と位置付ける。「小型の物件でも柔軟に出店できる業態が欲しかった。ショッピングセンター(SC)やデパ地下などさまざまな立地に対応できる」(山形美憲常務執行役員営業本部副本部長)として、早期に「最低5、6店は出店したい」(同)考えだ。

デリカと即食商品に品揃えを特化

 品揃えの特徴は①デリカとデリカとの親和性が高いグロサリーの即食商品に特化、②館内のホテルを利用する外国人を念頭に手土産やギフトに使える商材を備え、③国産や地方の名産品、安全・安心な商品を意識、④チョコレートなど輸入品でも高品質にこだわり、⑤若い女性を中心に美容・健康につながる商品を充実――したこと。また従来型SMの商品選定とは異なり、品番・カテゴリー・品種の垣根を越えた「組み合わせ」や「商品自体の価値」を訴求する。

 営業時間は7時~23時と長く、時間帯別のニーズに合わせた食シーンを提供しているのも特徴だ。昼時には対面販売コーナーでお客に好みのデリ商品を選んでもらい、オリジナルの組み合わせで弁当が作れる。イートインスペースでは店内の出来たて商品はもちろん、夕刻や休日の「ちょい飲み」にも対応し、サーバーを使用したクラフトビールを提供する。

対面販売のコーナー。左から「サニーボウルズ」「186℃」「プレッセ デリ ボックス」が並ぶ。15時になると「サニーボウルズ」は看板を裏返して「マイセレクトピザ」コーナーへと変身する。

 品揃えの核となるのは8つのコンテンツ(コーナー)だ。①ワインに合うデリ・サラダ・オードブルを一体型什器を使って合同展開する提案コーナー「ペアリングデリ」、②対面販売でお客が組み合わせを選べる弁当コーナー「プレッセ デリ ボックス」、③出来たて・作りたてを演出する揚げ物の対面コーナー「186℃」、④サラダのトッピングやドレッシングが選べる対面カスタムサラダコーナー「サニーボウルズ」、⑤店内の窯で焼いたピザにお客の好みのトッピングをのせるオリジナルピザの対面販売コーナー「マイセレクトピザ」、⑥おにぎり・主菜・副菜・汁物を組み合わせるセルフタイプ献立提案コーナー「一汁三菜キッチン」、⑦料理研究家など著名人が選んだ一品やちょっとした手土産を提案するコーナー「プロの目利き7選」、⑧フランスパンの有名店の焼きたてパンを展開する「ビゴの店」――がそれである。

 このうち「サニーボウルズ」は11時~15時に、「マイセレクトピザ」は15時以降と時間帯別に切り替えて展開し、狭小店のスペースで効率を高める「二毛作」(山形常務執行役員)を試みる。対面販売は上記の②~⑤の4つのコーナーで店内左手奥にまとめて展開している。

 店内右手奥に14席用意したイートインコーナーでは、購入した店内の商品をすぐに食べられるのはもちろん、サーバーを使用したクラフトビール(250ml1杯500円、4種飲み比べセット1000円)を楽しめ、主に夕刻の「ちょい飲み」需要に対応する。コーヒーも提供。食事客にはデトックスウオーターを無料で提供する。

アイテムを絞り込み、運営は省力化

内装は黒、白、木目調をベースにシックなイメージに仕上げた。

 展開するSKU(最小在庫管理単位)数はグロサリー食品が1050SKU、デリカ食品が185SKUで合計1235SKU。昨年4月にオープンした同じ狭小店舗である「東急ストア フードステーション」渋谷キャスト店(59坪)の3500SKUと比べてもその約3分1と徹底して品目を絞り込んでいる。商品の供給はデリカ部門とグロサリー部門が担当している。1235SKUのうちナショナルブランド商品は2割弱だけだ。

 店舗のオペレーションは省力化し、従業員に負荷がかからないように配慮している。社員は店長1人だけで、パートタイマー・アルバイトを35人配置する。「店内で作る商品はデリカの場合5割はない。キットの状態で納品しているものが多い」と山形常務執行役員。

 館内のホテルを利用している外国人が困らないようにスマートフォン(スマホ)をかざすだけで各コーナーの詳細や商品の購入の仕方がスマホで見られる「スマートプレート」も導入した。4カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)に対応し、従業員が説明する手間が省ける。

 この他、販促面ではLINEアットを利用して店舗や商品を紹介したり、特典となるクーポンを配信するなどデジタルプロモーションを積極的に活用。生鮮食品や豆腐、納豆、卵といったいわゆる特売対象商品は置かないこともあって、チラシはオープニング時以外は使わない。

 新業態の開発に当たって、同社では香港の高級SMであるシティスーパーや世界から良質な食品とワインを集めているオリバーズ・ザ・デリカテッセン、英国発のマークス・アンド・スペンサーなど香港で展開しているSMを視察した。特にシティスーパーはトーマス・ウー(烏嘉華)社長に話を聞いた。またシティスーパーが主催する仕入れ会に部課長やバイヤーを参加させ、新たな仕入れルートを開拓した。

 店舗の契約は7年。「売上げよりも利益にこだわり、7年で結果を出す」(山形常務執行役員)。今後は2016年8月に開店した「東急ストア フードステーション」の用賀店(72坪)や渋谷キャスト店といった狭小店舗と「プレッセ」4店(田園調布、中目黒、目黒、東京ミッドタウン)、そして改装する店舗で実験的に一部商品を展開し、その後「東急ストア」の店舗にも広げる。その後は新業態として早期に5、6店を出店し、売れ行きを見ながらマーチャンダイジングの改廃を含めて取り組んでいくという。

「ペアリングデリ」。ワインをメインに、その他の酒に合うチーズや生ハムなどデリ・サラダ・オードブルを一体的に提案。什器上にはワインが並んでいた。

 

セルフタイプの「一汁三菜キッチン」。おにぎり+主菜+副菜2品+汁物を組み合わせて880円で提供する。
「プロの目利き7選」。毎月テーマに沿った商品を著名人に7品紹介してもらってグロサリーのエンドで展開する。

 

フランスの伝統的なパンづくりをしている有名店「ビゴの店」が直営以外では初めてコーナー展開。自由が丘から毎日2回出来たてを届ける。左はビゴ東京のオーナーシェフである藤森二郎さん。
イートインスペース(14席)にはスマホ用の電源を設置。館内フリーWi-Fiも利用できる。

 

ワインの品揃えを充実。有名ワイナリーで作られたワインなどが並ぶ。
キャンディー、スナック、米菓名店品など高品質な輸入品や国産品などいずれもこだわりが見える。

 

 
  • プレッセ シブヤ デリマーケット
  • 所在地/東京都渋谷区渋谷3-21-3 渋谷ストリーム2階
    売場面積/165㎡(50坪)
    営業時間/7時~23時
    従業員数36人(社員1人、パートタイマー・アルバイト35人)
    年商予定/3億7000万円
    開店日/2018年9月13日
    展開企業/東急ストア
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