厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第9話 定時上がりの夫・徹央の目線

 妻の夏ちゃんが長年勤めてきた安定企業を辞めて、ベンチャー企業に転職した。やりたい仕事に打ち込むためのフルタイム転職ということで、のっけから残業が多く、ちょっと疲れているようにも見える。

 ぼくたちは、お互いの予定をTimetreeというスケジュールアプリで共有している。子供がらみの用事、仕事が遅くなる日、飲み会、プライベートまで全部丸ごと隠さない。遅かれ早かれ同じ家に住んでいればいつかは伝えることだし、言った・言わないを防ぐためでもある。

 お互いフレックスが使える職場なので、ぼくは朝8時に出社し、定時きっかりに会社を出て愛娘を迎えに行く。以前は取引先との付き合いの飲み会も多かったが、今はほぼ残業しない。その代わり就業中は仕事にしっかり集中する。

 お迎えが終われば晩御飯タイム。学生時代に居酒屋のキッチンでアルバイトしていた経験が生きているので、料理は得意な方だと思う。

 酒飲み夫婦なので、メニューは酒に合うツマミ系おかずが多くなりがちだ。子供のフミコちゃんにはちょっと塩分が多めなのは、ご愛敬だ。

 夏ちゃんの帰宅が遅くなりそうなときは、お風呂も一緒に入る。まだ小学校前なので、パパと一緒に入るのもぎりぎりセーフだろう。

 夏ちゃんが転職したとき、ぼくはこう言った。

「フミコちゃんや家のことは、ぼくに任せてね。夏ちゃんは、やりたいことをやればいいよ。応援する」

 実は最初はちょっぴり不安だった。職場は今の家から近いけれど、本当に毎日お迎え時間に間に合うだろうか?

 それでもそう言えたのは、ぼくも同じだからだ。その時々で、やりたいことをずっと優先させてきた。

 親になっても、彼女が妻や母親以外の個人の人生を充実させることは、とても大事なことだ。幸い完全ワンオペ育児というわけではないし、先のことは分からないけれど、まあ何とかなるだろう。

 心配は杞憂に終わり、ぼくはあれほど毎日行っていた飲み会をスッキリ止められた。それだけではない。評価する側にジェンダーフィルターをかけられている気もするが、定時上がりで仕事をきちんと終えられると会社の評価も上がった。いずれにせよ、別に飲まなくても人間関係など構築できるのだ。

 夏ちゃんの妊娠中から出産、育児休暇の間、ぼくは今まで自由にやらせてもらってきた。今度は、彼女の番だ。

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 保育園児がいる家庭ならば、ぼくと同じようなタイムスケジュールで働く親はたくさんいるだろう。

 でも、その性別が「父親」になると途端に目立ち、顔を覚えられ、珍しがられてしまう。

「育児だけでなく家事もするなんて、神!すごすぎる!」

 そんな言葉を投げかけられるたびに、なんだかなぁと思う。その発言は、同じような共働きママにも言っているのだろうか?

 ぼくは神様なんかじゃない。お酒が好きな普通のサラリーマンだし、ただの父親だ。

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>第10話 転職したばかりの妻・夏子の目線

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