問題解決スキル向上の研修をしていると、『問題』を曖昧に考えている人が多く、そのために問題解決のスキルを上げられないでいることが分かります。そんなとき、私は問題と問題点の違いを認識してもらうことにしています。

解決すべき不具合と結果としての不具合

 私は『問題』を『解決すべき不具合なこと』と定義しています。問題は困っていること、解決したいことだからです。

 問題を構造的に理解すると、『差』の概念だと分かります。把握した事実と比べる対象との差。

 例えば、あるカテゴリーで100万円の売上高実績があるとします。それを前年の売上高105万円と比べた場合、その差のショート分5万円が問題となります。比べる対象を予算売上高110万円とした場合は10万円の差が問題。チェーン内ベンチマーク店舗(成績の良い店舗)の売上高120万円と比べた場合は差の20万円が問題となります。

 ここで問題の表現の仕方についても整理しておきましょう。

 それは、問題の原因と結果の因果関係を明確にしたもの。『○○という原因のために●●という結果が発生している』という表現で、具体的には、『備品の定位置管理が行われていないため、備品の探し作業が発生している』となります。

 原因も結果も不具合なことです。そこで、私は『結果としての不具合なこと』を『問題点』と定義しています。

問題点は経営数値に悪影響を与える

 問題解決に慣れていない人には特徴があります。それはいろいろな場面で混乱することですが、中でも致命的なのが問題を特定する場面で混乱すること。

 例えば、『定位置管理ができていない』『段取りができない』という不具合がある場合、これら問題の因果関係を表現しようとすると混乱が起こります。

『定位置管理ができていないために段取りができない』のが問題なのか、『段取りができていないために定位置管理ができない』のが問題なのか。

 しかし、これを話し出すと何時間でも続く不毛な議論になるので、こんなとき、私は問題と問題点の違いを説明し、問題点は結果となる問題で、経営数値に悪影響を与えるもの、つまり、売上高や荒利高、経費に悪影響を与えるものであることを理解してもらっています。

『定位置管理ができていないために段取りができない』も『段取りができていないために定位置管理ができない』も結果となる不具合なことが経費に直接、悪影響を与えていないことを理解してもらうのです。

 すると、『備品の定位置管理が行われていないため、備品の探し作業が発生している』ことが問題なのか、『前日の必要備品の段取りが行われていないため、備品の探し作業が発生している』ことが問題なのかという議論となり、現場で調査しようということになります。

問題点の理解が問題解決スキルを上げる

 問題点を売上高や荒利高、経費に悪影響を与えるものであると理解すると、「だからなんなの?」「なにが問題なの?」と突っ込みなくなる問題特定がなくなり、問題解決プロセスが迅速となるのです。