代々木上原のOKIDOKI

 アパレル流通は作る側・売る側の一方的な思い込みや勘違いが消費者とすれ違い、年々のように不振在庫が積み上がってきた。今年上半期のアパレル総供給点数に対する家計総購入点数の比率は年換算で46.6%とまたまた最悪値を更新しているから、業界と消費者のギャップは広がりこそすれ縮まってはいないようだ。値引き販売を繰り返して、それでも過半が売れ残る非効率な流通では値引きや売れ残りを見込んで調達原価を切り詰めざるを得ず、それがまた買い気をそぐという悪循環を抜けられないでいる。そんな新品の衣料に愛想を尽かし、お値打ちの高いリユースやアウトレット、合理的なレンタルに食指を伸ばす消費者が急増している。

新品はばからしくて買えない

 値引きと売れ残りのロスを上乗せした今日の衣料品はとことん切り詰めた原価率で作られており、合繊まみれで味わいが薄くお値打ち感を欠き、手間もコストもかけた一昔二昔前の商品のような愛着は期待すべくもない。昔の原価率は今より格段に高かったから元よりお値打ちが高いのに加え、リユースやデッドストックは往時売価の何分の一かで売られているから、今の新品に比べれば桁違いの値打ちがある。

 90年代初頭と比べれば、百貨店や駅ビルで売っている衣料品の原価率は15ポイント近く切り下げられたのではないか。90年頃の最終消化率は96.5%とセール後はほぼ完売していたのに今や50%にも届かないのは、大幅な原価率の切り下げが災いしていることは間違いない。売上げが落ち、値引きがかさむほど利幅を広げて利益を確保しようとし、原価率を切り下げてきたのだから業界は自業自得だが、それを買わされる消費者としては噴飯物だ。そんな事情を知らなくても、価格とお値打ち感が乖離してしまえば食指は動かない。

 きちんと感やほどほどの同質性(過度な個性はコミュニケーションを阻害する)が求められるビジネスウエアはともかく、カジュアルや子供服では薄味で割高な新品を買う理由は見つからない。目利きに自信のある人は新品に見切りをつけ、リユースやデッドストックに流れて当然だろう。

リユースやサブスクリプションが新品市場を脅かす

 リユースのB2C市場規模はまだ金額ベースでは衣料・服飾流通の2%弱(リサイクル通信の調査では2152億円、ブランド品2401億円は含まず)だが、メルカリ(18年6月期の国内衣料・服飾流通総額1840億円)やラクマなどネットフリマ流通、リアルのフリマ流通などC2Cまで加えれば5%に迫り、流通数量ベースでは15%前後を占めると推計される。

 子供服ではフリマ経由のリサイクルが定着しているし、若者は人気ブランドを購入して何度か着たりSNS映えを楽しんではフリマアプリでブランド店舗のない地方客などに高値で売って元手を回収し、また新たに購入するというリボルビング消費を謳歌している。購入価格と売却価格の差が実質的な“価格”であり、リセール価格が正価を上回る人気ブランドも存在する。ファッションブランドも乗用車のようにリセール価値で評価するサブスプリクション感覚が昨今の現実だ。

 ならばファッションブランドも乗用車ブランドのようにリセール流通に留意すべきで、衿ネームや洗濯タグにヴィンテージと品番・製造番号を入れたり、自らアプルーバル品やリメイク品を販売してもよいだろう。その意味で“アーカイヴ・コラボ・シンプル”を謳って同社初のECサイトを軸に世界6店舗で販売するコムデギャルソンの新ブランド「CDG」は注目に値する。

 新品流通が高コスト化・非効率化して原価率が切り詰められ、お値打ち感が劣化していく以上、セールで買う比率が高まり、リユースやサブスクリプションが拡大していくのは必定で、それがまた新品の正価流通を追い詰めていくというのがアパレル流通の現実だ。加えて、米国で猛威を奮っているオフプライス流通がわが国でも広がれば正価流通は破綻してしまう。

※サブスクリプションとはAVコンテンツやソフトウエアを購入ではなく利用料を支払って使う消費形態で、物品ではレンタルやリースが相当する。