楊官華(アレックス・ヨン)氏が香港で開催したセミナーの様子

 201710月16日付の当サイトで香港式カフェレストラン「茶餐廳」が増えていることを紹介したが、記事で取り上げた店舗を経営しているのは香港人の楊官華(アレックス・ヨン)氏。彼は東京で不動産会社「センチュリー21」のフランチャイジーをしており、香港人を中心に中華系の人たちに日本の不動産物権を販売している。今回は本業の不動産について話を聞いた。

日本のほとんどの要件が魅力的

 鎖国の影響をどこか引きずっているのか、島国であるからなのか。国際化が進んだ世の中でも日本人は外国人に慣れていない、または心のどこかに抵抗感がある人が少なくないというのは事実だろう。

 実際、不動産業界でも外国人お断りの大家さんもたくさんいる(バブル期は日本人が外国の不動産を買い漁ったことがあるので自分のことを棚上げするのはどうかと思うが、それが現実だ)。また、「中国人が日本の森林を買った。水源地を買った」というニュースも流れるなど、複雑な状況も生まれている。アレックス氏の場合は、あくまでも不動産物件の販売に特化しているが、その辺りについて、日本人が気になるところでもあるので率直に聞いてみた。

楊官華(アレックス・ヨン)氏。話すと非常に腰が低い

「いろいろなことがあるのは私も知っていますので、日本を好きな人というのを前提に販売するようにしています」と話す。「実際、日本に拠点を構えていない香港の不動産店で日本の物件を売っているところもあります。そうしたところはただ売るだけで日本の文化やルールを尊重していなかったりするエージェントもあります。そういうことはしたくないのです」

 アレックス氏は2003年から香港でセンチュリー21のフランチャイジーを行ってきたが、香港政府が次々に打ち出す価格抑制策をみて、(香港の一般市民には良いことだが)「香港の不動産市場はエージェントにとって将来は明るくないと考えました」と語る。

新宿にあるアレックス氏の会社

 そんな中、日本の不動産を買いたいというお客がわずかだが、いた。アレックス氏は日本の不動産については全く知識がなかったため、まず市場調査をし、2013年に自分用に東京の不動産を購入。「それで日本の不動産の安さや香港人が不動産を購入するメリットなどに気付きました」という。その行動は早く、同じ年に来日し日本のセンチュリー21にも加盟して日本で起業した。

 このスピードある行動は日本人にはあまりない点だが、そもそも日本人にとっては実感の伴わない好況感、少子化、将来の供給過剰問題などで、未来の不動産について明るい展望を持っている日本人は多くはない。

 日本の不動産について検索してもネガティブな論調の記事の方が多いので来日して起業するというのは不思議と感じる読者の方もいると思う。

 しかし、これは外国人という立場になると話が変わってくる。

 アレックス氏は日本の不動産に関する本を中国語でいくつか出しているが『宜居日本』という著書では日本の不動産の魅力について「治安の良さ」「円安」「価格の安さ」「利回りの良さ」「外国人が起業することに関しての規制緩和」(=外国人が日本に多く来る。または投資するようになる)など10の要因を挙げている。東京五輪については、1964年の前回は戦後の日本のファンダメンタルズを形づくるものになったが、2020年の五輪は「失われた20年」の日本経済に活力を与え、安定成長に寄与していると指摘した。

「日本経済についていろいろな評論がありますけど、まだまだ経済力が高いですし、法治国家であるという安心感があります。余計なリスクを心配しなくていいというのは大きいですね」と日本という国としての総合力が魅力ということのようだ。

「10の要因と少し似ていますが、外国の不動産を評価するとき、『PRICE』というのを私は提案しています。PはPopulation(人口の伸び具合)、RはRental(家賃をベースとした利益率。投資利益率の概念に近い)、IはInfrastructure(インフラ)、CはCurrency(為替レート)、EはEconomics(経済)の頭文字を取ったものです。日本では利益率はそれほどではありませんし、少子化もしています。しかし、東京の場合、地方からの人が集まっていて、外国人在住者も増えているため人口が増えています。インフラの良さ、円安、アベノミクスによる景気回復を考慮すると、投資先としては人口が集中する東京、大阪など大都市圏に限ります」とも話した。