改めて「4つの経営ビジョン」を評価した

 そして2017年3月には、4つの柱からなる新たな経営ビジョンを発表。

(1)顔の見える専門店・小型店による多店舗展開:2019年末までに、全国に50~70拠点を目指す。そのために、首都圏などを大都市部ではブランドや眠り・収納などの切り口ごとの小型専門店を多店舗化し、旗艦店はさまざまな小型専門店の集合体として再構成 、地方では総合型の小型提携店を中心に、全国で多店舗化を図る。

 だが、業態開発には多大なパワーが必要で、実験の検証も欠かせず、果実を得るには時間がかかる。大型店の売場の専門化による販売力の強化も間違っていないが、経営再建中にある同社にとっては身に余るもので、まずは既存店の再生を最優先させるべきであろう。

(2)プロフェッショナルによる提案サービスを前面に。インテリアコーディネーターなどプロフェッショナルの指名予約制をスタートし、 店頭だけでなくウェブでのさまざまなコンサルティング、提案サービスも開始する。

 このように新機軸を打ち出すことで、改めてコンサルティング販売を強化することを表明したわけだ。

(3)商品とサービスのオムニチャネル化:ウェブで、店頭で、ご自宅で、シームレスに商品・情報・サービスを提供。具体的な取り組みはEC対象商品を拡大、3D、AR(拡張現実)アプリにより自宅での検討をサポート、ウェブ申込みによる訪問提案・採寸サービス。

 だが、オムニチャネル化は多くの企業が取り組んでいるがいまだ十分な成果を上げておらず実証段階が大半で、現段階で取り組む課題とは思えない。

(4)購入だけではない、新しい選択肢の提供。「新品」「リユース品」「リフォーム」「下取り・買取り」「レンタル/サブスクリプション」を用意する。

 リユース、レンタルといった拡大するマーケットにアプローチする必要性はあるが、これもまず、本業の家具の店舗販売に注力して再生させてからだ。

久美子社長を取材したときに感じたこと

 こうしてみてくると、この経営ビジョンは非現実的で、現状を打開するには前述したように既存店の再生に集中することが求められ、それにめどがついた時点で新たな種まきを行うべきだといえるだろう。

 

 久美子社長には以前、取材であったことがあり、聡明な印象を受けたが、話を聞いても現場に精通しているように思えず、部下数人を同席させていたことからもそのことがうかがえた。

 同社の再建には、未来に向けたバラ色の戦略ではなく、実践的なてこ入れ策が必要だ。しかし、現経営陣ではそれはかなわず、支援先が決まっても容易ではないだろう。経営資源の強みを今一度確認し、活用することが求められている。未来に向けた戦略は重要だが、再建中の大塚家具には、今は現状の病状の身を回復させる臨床的な治療法と効能が期待できる処方箋が求められている。