厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第8話 保育園迎え担当の妻・美香の目線

「隼人があの場にいることに意味があるんだよ! その姿を見たり聞いたりした他のお父さんが、後に続くんだよ」

 そんなことを、夫婦で参加した保育園クラス懇談会の帰り道で言った。

 周りに有給を取って休んでまで参加するお父さんはいなかったから、気まずいのは分かる。逆の立場なら、きっと私も躊躇していただろう。

 でも、時代は確実にそちらに向かっているし、何より夫が子育てを楽しみたい人だと分かっているから、私は彼の判断を尊重して応援したい。

 せっかく子育てしようと取り組む父親の、邪魔をするのが母親であっては絶対ならない。

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「旦那さんの給料だけでも生活できるでしょ」と言われるけれど、何かもういろんな面でそういう問題じゃない。

「生活できる」って、そもそも何だ。いつを、何を基準にしているのか。

 数年間だったら気合いで節約してあらゆるレジャーを我慢すれば何とかなるのかもしれないけれど、給与が昔ほど上がらないであろう中で、将来の学費や住む環境や老後の生活費は? 残業をたくさんして「もっと小さい娘とたくさん遊んでおけばよかったな」って父親に思わせるの? 女の仕事は、母になって子供を産んだら辞めなければならないの?

 夫が仕事、妻が家庭と分業するのは効率的だから、双方が納得し合っているならいいと思う。ただ、それはそれでお互いの異なる立場を理解し合う別の難しさもきっとあるだろう。

 2人とも働いて家事・育児を分担していれば、同じ状況を共有できるし双方のリスクヘッジにもなると私たちは判断して、お互いに仕事を続けている。

 前例がまだ少ない中で仕事も育児もしている夫の方がつらいのかも、と思う日もある。でも、同じ責任を負って、私たちは前よりもずっと近く、強くなれた気がする。

 朝に流れる子供関連の報道にいちいち胸を痛め、ニュースで取り上げられる働き方改革について意見を交わす。社会問題を自分事としてずっと身近に感じ、娘の水穂の送迎時の様子をそれぞれ報告し合うのが日課だ。

「子供は母親が育てるべきだ」という3歳児神話はとっくに研究者のデータで論破されているらしいけど、保育園や学童で長い時間を過ごした子たちがどう感じるのかは、正直彼らが大人になってみないと分からない。

 いつか「〇〇ちゃんの家にはずっとママがいて、手作りおやつがあってうらやましい。寂しかった」とか言われる日が来るのかもしれない。

 私の仕事が子育て以上に価値を生んでいるか、分からない日もたくさんある。残業や出張でどうしても間に合わなくて延長になった保育料とか、疲れ果てて出前を取ったりファミレスに駆け込んだ金額とか、考えたらいろいろマイナスでコスパが悪い気もしなくはない。

 だけど、娘が女性であるというだけで、自分らしい生き方を諦めてほしくない。選択肢はたくさんあって、自分次第でどちらでも好きな方を選べるんだよ、ということを教えたい。

 そのためには、私たちがまずは変わらなければ。選択肢を増やす努力をしなければ。

 娘の水穂のために、今日も私たちは手探りで共働き生活を続ける。私たちの姿は娘が体験する小さな社会になるのだから。

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>第9話 定時上がりの夫・徹央の目線

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