東京・渋谷では、東急電鉄が中心となって、駅周辺で6件の大型の再開発が進行している。来年秋には「公園通り」のパルコ跡地に地上20階地下3階のオフィスビルと商業施設の複合ビルが開業するなど、開発ラッシュで街全体が大きく変わろうとしている。

 そうした状況の中、ドンキホーテホールディングス(HD)が大規模な再開発事業を行うことになった。「(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画」は、JR渋谷駅周縁の「文化村通り」の5737㎡の敷地に、地上28階地下1階、高さ120mの超高層ビルを建設。1~3階が店舗、4~10階がオフィス、11~28階はホテルとなり、竣工は2022年4月を予定している。

店舗跡地利用のために今回の計画が浮上

 この一角にはもともと、1999年にオープンした初の都市型多層階店舗「ドン・キホーテ渋谷店」があり、その拡張のために周辺の用地取得を進めていたが、昨年5月、近くのビルに、約4倍の規模で「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」を設けたことから、跡地利用として今回の開発計画が浮上した。

 商業施設の詳細は未定だが、「街の結節点」となる立地条件を生かし、地域住民や来街者、オフィスワーカーを対象に需要の取り込みを目指す。MEGAドン・キホーテとの相乗効果を狙うが、当然、差異化しすみ分けが図られることから、ホテル、オフィス立地を意識し、来街者の取り込みも狙い、テナントを誘致する可能性が高い。

 今回、ドンキが本格的なリーシングに初めて取り組み、デベロッパーとしての手腕が試されることになるが、ドンキ独自のユニークな発想も期待され、どのような構成になるのか注目される。

「若者の街から大人の街」へと変わる渋谷

 一方、オフィスだが、渋谷にはサイバーエージェントやミクシィなどの本社があり、グーグルの日本法人が来年竣工予定の「渋谷ストリーム」に本社を移転するなど、ITなどクリエイティブ企業の集結が進んでおり、ドンキもこうした企業の誘致に力を入れていく考えだ

 今後、新たに8万坪のオフィススペースが生まれ、渋谷はオフィス街としての性格も強まり、かつて新宿副都心計画で、新宿の街が大きく変貌したように、若者の街から大人の街へと変わっていく。ドンキもその一翼を担い、商業でもより幅広い需要を取り込もうとしており、今回の開発はその一助となろう。

どのようなホテルが入るかも、極めて興味深い

 また、2020年に向けて訪日客の増加に伴い、東京での宿泊施設不足が深刻化する中、渋谷も宿泊施設の絶対数が足りず、本格的な大規模なホテルも少ない。今回のホテルはおそらく有力ホテルが入居するものと思われるが、インバウンド需要の取り込みに長けたドンキがどのようなホテルを誘致し、コミットしていくか、極めて興味深い。

 そして、今回は施設の敷地内を動線でつなぐことで街の新しい回遊空間の創出にも取り組む。文化村通りに、新たなランドマークとなる拠点ができることで、渋谷の街全体における回遊性が高まることも大いに期待され、渋谷の街づくりの一翼を担うことになる。

街づくりに新たな風を巻き起こせるか?

 こうした役割を十分認識しながら、「デベロッパーとして街づくりの挑戦」(大原孝治社長)という新たな事業領域に挑むドンキホーテHD。GMSの低迷が続く総合小売りで、29期連続増収増益の勝ち組が、デベロッパーとしても街づくりに新たな風を巻き起こすことができるか、店舗づくりで培われたドンキならではのユニークな取り組みが、ここでも十分生かされ、さらに新たな試みが展開されれば、従来にない面白い施設ができるだろう。

 今まで独自の手法で常識を打ち破ってきた異色の企業であるドンキホーテHD。今回のデベロッパー事業参入をきっかけに、金太郎飴化したともいえる街づくりにも新たな視点と切り口が生まれる可能性があり、活性化が期待できると考えている。