本部でできるコストカット額はわずか

 だからといって、人件費を下げるために、本部目線でむやみにコストカットをしても本部でできるコストカット額はわずかです。コストの大半を抱える店舗での無駄を洗い出し、利益を確保する思考法を店長指導者に教育しなければ、時間の経過とともに、ますます目標からはかけ離れるばかりです。

 人口が増えていたときは日替わりや価格強化の販促をかけることで、それなりに商品が売れましたが、今はこうした販促では動きがよくなく、それらの陳列場所を移動したり、値下げに手間がかかったりと、コストアップ要因になっています。

 店舗で手間をかけ、チラシ準備やPOP、飾り付けをしても、商品が売れ残るため、その値下げ作業にさらに時間をかける。これではいくらやっても負のスパイラルから抜け出せません。そればかりか、効果の上がらない作業を繰り返すことに疑問を感じ、店長や副店長クラスが辞めることがあとを絶たないという事態を招いてしまいます。 

 こうした作業を店舗で繰り返している限り、生産性は下がる一方ですし、それに将来性を見いだすことができず、見切りをつけるのは、当然のことといえるでしょう。

販促寄りの研修やればやるほど士気も下がる

 売場の演出、モチベーションアップ、接客、マーケティングといった販促寄りの研修をやればやるほど、人時生産性と士気が下がるのは、火を見るより明らかです。

 今、店長に指導すべきことは、「売上げが減少する中で少ない人時で利益が上がることに集中できる仕組み」であることは言うまでもありません。

 当然ですが、こうしたことは、その前に経営がこういう仕組みを作った上で、店長指導者である運営部長や地区部長への教育を行う機能が必要となります。

異業種の教育プログラムは使っては駄目

 ところが、こうした業務改革のような研修をやるとなると、大抵、人事部がメーカーや製造業、航空会社出身の講師を呼んで研修をやったりするのですが、これまた全く効果がないのです。

 理由は単純で、業種や専門分野が異なる畑違いの改善は、単なる「表面的なもの」しか分からないため、現場では全く使うことができないからです。

 ですから、どんな理由があったとしても、製造業、自動車産業、メーカーといった異業種の教育プログラムは使ってはいけないのです。「本物のチェーンストア改革にのっとって教育を進めていく」という大原則を守らなくては、その研修費用を垂れ流しているのと同じことになります。

研修は自社の業務改革を題材にする

 本物とは「自社の業務改革の題材で進める」ということです。業務改革のプロジェクトを進めていくと、必ずといっていいほど、幹部の参加メンバーの目の輝きが変わってきます。これはどこかで聞いた話だとか、机上論などが一切なく、全て実践そのものの話であり、これほど面白いことはないからです。

 私は前職時代、今も成長し続けるグローバルチェーンの改革メンバーとともに昼夜議論し、実践してきたチェーン改革の思考方法やノウハウは、これまで他では聞くことのできない内容であっただけに、それは興奮したものです。