厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第7話 保育園送り担当の夫・隼人の目線

 やってしまった。

 保育園に入って初めての娘のクラス懇談会、普段の様子を聞くチャンスだと張り切って有給を申請して参加したものの、「お父さん」は自分一人だった。

 それだけでも何となく居心地が悪いのに、配布資料にある「お母さん」という文字が突き刺さる。

 父親として娘を育てているが、自分のように男性で育児に積極的な人はまだ少数派だ。それでも娘は、大きくなったら確実に「パパ臭い」と離れていくはずなので、今のうちに目一杯触れ合い、仲良くしたい。

 こんな風に疎外感を感じることはいくらでもある。育児の世界は、お母さんの力が絶大だ。

 俺がお気に入りなのは『くっついた』という絵本なのだが、理由はわが家にある絵本の中で唯一「お父さん」が最後のページに出てくるからだ。

 そもそも大半の男性用トイレには、オムツ替えをする場所がない。まだオムツが手放せない娘と2人のお出掛けでは、多機能トイレ、もしくは誰でも入室できるベビー休憩室の場所を真っ先に確認する。新しい施設では比較的おむつ替えコーナーと授乳室が分かれているが、授乳室メインで男性が入室できないタイプもあるため、事前チェックは必須だ。

 保育園と職場が近いため緊急連絡先は俺の職場にしているが、発熱が出たなどの通称「お迎えコール」を受けて早退すると告げると、やはり周囲からは「なぜお前が迎えに行く?」と言いたげな、不思議そうな顔で見られる。

 一緒に懇談会に行った妻は「隼人があの場にいることに意味があるんだよ!その姿を見たり聞いたりした他のお父さんが、後に続くんだよ」と言うが、やはりママ集団の中に入っていくのは勇気がいる。

 とはいえ、共働きで核家族なのだから、夫婦で仕事も子育ても何とかやるしかない。夜泣きや深夜の嘔吐処理対応で、昼休みにランチより仮眠を優先することもあるけれど。

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 希望は感じている。通い続けるうちに、朝、子供を連れて登園するパパは増えた。お迎え担当の妻によると、帰りのお迎えにパパが来ている家庭もあるようだ。

 まだ日本では、男性と女性の家事・育児負担率は平等とはいえない。男親の育児休暇は珍しがられるし、子供がいるからと定時で帰る男性は社内で「目立つ」存在だ。

 それでも自分と同世代の間では、少しずつ「パパトーク」を楽しめるようになってきている。飲み会を早めに切り上げて帰ったり、子供の看病のためにヨメと交代で仕事を休んだりと、子持ち共働き家庭では、初めての育児を手探りしながらうまく仕事と調整しているヤツの方が多い。

 共働き母親が仕事を続けるのと恐らく同じくらい、育児に積極的に参加している共働き父親は正直しんどい。家に帰れば父親だが、職場では戦士と見なされ、うまく両立せねばどちらのポジションも危うくなる。

 俺たちの子供が親になる未来には、もっと違った選択肢が増えていると信じている。

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>第8話 保育園迎え担当の妻・美香の目線

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