かつては「小売業の王者」と呼ばれていた百貨店。しかし、バブル経済崩壊以降、長らく低迷にあえいできた。最近では、株高やインバウンド需要という追い風も吹いたものの、地方店・郊外店の相次ぐ閉鎖など依然、厳しい商況が続いている。生き残りを賭けた百貨店の合従連衡も進み、それが平均給与ランキングにも反映されている。

 ランキングの金・銀・銅メダルは大手百貨店グループが独占した。第1位のエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)は阪急百貨店と阪神百貨店、第2位の三越伊勢丹ホールディングスは三越と伊勢丹、第3位のJ.フロント リテイリングは大丸と松坂屋が、それぞれ経営統合して発足したホールディングカンパニーだ。

 H2OはGMS(総合スーパー)などを展開するイズミヤ、J.フロントは大手ファッションビルのパルコも傘下に収めている。なお、H2Oはセブン&アイ・ホールディングス(そごう・西武が参加)とも資本・業務提携した。

 H2Oの平均年収は900万円に迫るレベルで、ほかの小売業態のトップクラスと比べても遜色はない。給与水準においては王者の底力を見せ付けた格好だ。

 ただし、持ち株会社なので、傘下の事業会社(百貨店など)を含めた平均年収よりも、高めであることも考慮しなければならない。そのため、持ち株会社化していない髙島屋は第6位となっている。

実際はファーストリテイリングが1位?

 一方、百貨店の凋落を尻目に、カテゴリーキラーとして台頭著しいのが衣料品専門店。「ユニクロ」をグローバル展開し、衣料品SPAの筆頭と目されるファーストリテイリングは第4位に食い込んでおり、新旧交代を象徴するランキングとなっている。

 しかも、百貨店はオールドビジネスであるだけに、従業員の平均年齢も高く、軒並み40代を超えている。それに比べて、新興勢力であるファーストリテイリングの従業員の平均年齢は37.3歳と圧倒的に若い。

 つまり、実質的な給与水準では、上位3位の百貨店をしのぐと推定される。もっとも、平均勤続年数が4.3年とこれまた断トツに短く、定着率の低さが気になるところだ。

 紳士服が主軸のAOKIも第5位にランクインし、衣料品専門店の代表格として気を吐いている。

 衣料品は、商品回転率が低く、売変のリスクも大きいといった難点があるが、その半面、荒利益率が加工食品などに比べて断然高いといった利点もある。そのため、衣料品専門店は、販売効率を高めることができれば、労働生産性は極めて高いと言えよう。

 衣料品の売上げ構成比が高い百貨店も同様だ。とりわけ、百貨店は高額品が得意で、集客力のある商業集積に立地しているため、販売効率も高いはず。接客がメーンなので人件費がかかり、大型店舗の固定費がかさむといった弱みもあるが、うまくマネジメントすれば、高給を支払える“儲かるビジネスモデル”にもなるわけだ。