「中国人がこれからたくさんやって来る」という予言

 牧氏は有限会社リンクコーポレーションの代表取締役。同社はデザイン会社で、イベント企画・印刷媒体デザイン企画制作、インバウンド対策アドバイザー業務・翻訳ツール制作を行っている。

 牧氏は日本の大学を卒業後、中国・北京の大学に進学。ここで中国語をマスターした。帰国後100円均一ショップのバイヤーとなりアジアを拠点に活動。同社を退社した後、内閣府事業である「世界青年の船」に大阪代表として乗船。帰国後、新聞社が企画した「平成の遣唐使」に応募し、ミナミ地区で活動する経営者グループと上海を訪問。そこでこれらの経営者と知己を得たことがきっかけとなり、商店街活動に携わるようになった。

 牧氏がミナミでのインバウンド対策と初めて出合ったのは、2004年。大阪の電気街・日本橋で「シリコンハウス共立」という店舗を経営する共立電子産業株式会社の創業者、蘇建源氏から日本橋商店街の地図の中国語版を依頼されたことだ。牧氏は蘇氏から「自分自身は華僑なのでよく分かるが、そろそろ日本橋に中国人がたくさんやってくる」ということ盛んに言われた。

 蘇氏へのアドバイスは半年間であったが、この出会いをチャンスだと思い、2005年に現在の会社を起こした。ミナミの経営者と知己を得ていたことから、特に中国人のインバウンド対策の依頼が増えるようになった。中国人の団体客が来たときに中国語の通訳をしたり、銀聯カード導入のアドバイスもいち早く行った。

 牧氏はこう語る。

「10年前に偶然にもこの一帯の人々が、同じ方向に動き出しました。それが最近になって次々、形になって活性化につながっているのです」

 これらをつなぐものとは「インバウンド」であると牧氏は語る。

「インバウンドがなかった当時は、これらの商店街が手を組む必要性がありませんでした。それはそれぞれの商店街は日本人で潤っていたからです。しかしながら、そういうわけではいけないということになったのが、この10年間なのです」

 2000年に入り、先の蘇氏のように、大阪に中国からのインバウンドが急増すると予言する人が現れ、行政もそのとき、機に備える啓蒙活動を盛んに行ってきた。そして2013年には「爆買い」現象が顕在化。現在は、爆買いは無くなり、旅行形態も団体旅行から個人旅行シフトして、モノ消費からコト消費に転じてきている。

インバウンドに大阪弁を広める「オオサカ学習帳」

 牧氏はインバウンドのコト消費への対応策として2017年に「オオサカ学習帳」を作成した。これはインバウンドに「大阪弁を覚えてもらおう」という趣旨のもので、「ひらがな練習」から始まり、その応用編として実際に大阪弁が使われるシーンをイラストとひらがな、ローマ字で表記し、それを英語で解説している。この実にユニークなセンスはグローバルに受け入れられるものであろう。牧氏は「ぜひ、全国の商店街でまねてほしい」という。

 そのようなインバンド対策の活動を展開する牧氏に2018年に入ってからの大阪の動向について聞いた。以下は、筆者と牧氏の一問一答である。