EC比率が二桁に乗れば店舗は減っていく

 

 INDITEX社の18年1月期決算ではEC売上げが41%も伸びてEC比率が10%に達し、ECを展開している48カ国に限れば12%に達したと報告しているから、ECだけで3200億円を売り上げたことになるが、店受け取りを含むクリック(EC受注)ベースと推察される。既存店売上げもECが伸びているマーケットでは減少に転じていると推察されるが、店舗数も17年10月末の7504店をピークに半年間で56店減、ZARAに限っても24店減と減少に転じており、C&Cが拡大する欧州での減少が目立つ。

 米国のアパレルチェーンもEC比率が二桁に乗って以降は急速に店舗網が縮小しており、早期にECを拡大したアバークロンビー&フィッチなど13年1月期から18年1月期にかけてEC比率が15.5%から27.9%に拡大する一方で店舗数は912店から679店に減少している。成長が続くルルレモン・アスレティカさえ、18年1月期はEC比率が21.8%に達して店舗数がわずかながら減少に転じたことが注目される。

 EC比率が二桁に乗って伸び続ければ店舗売上げの減少は避けられず、店渡しや店出荷を行えば店舗の疲弊も加速する。ECは店舗に比べて運営コストも在庫効率も格段に優位でスケールメリットも加速度的だから、EC比率が10%を超えれば経営的な分岐点も超えてしまう。ZARAも店舗からECへの分岐点を超えたと見るべきだ。加えてZARAの場合、もう一つ抜本的転換が伴うことになる。

SMIの品揃えとガバナンスはどうなる?

 わが国の大手アパレルチェーンは大半がCMI(本部主導の品揃えと在庫コントロール)だが、ZARAは店舗が選択して発注するSMIで二千余店の品揃えと在庫コントロールを行っている。店舗マネージャーの募集広告を見ても、選択発注と販売の結果による成果報酬が年間報酬の3割を占めるとうたっているから、ガバナンスの要ともなっていると推察される。

 各店舗の在庫と各地域のEC(フルフィルセンター)在庫はそれぞれのマネージャーが選択発注して消化責任を負っているはずで、ECの受注に店舗在庫を引き当てては(その逆もだが)在庫コントロールもちろん、成果報酬のガバナンスにも支障を来すと懸念される。それでも踏み切るということは、EC主導の成長戦略に舵を切ったと受け取るしかない。

 もちろん成果評価のガバナンスを崩すことは避けたいから、EC受注に店在庫を引き当てても売上げは店舗に計上すると推察される。当社主宰SPAC研究会メンバー企業の直近アンケートでは「EC受注品の店渡し」は3分の2、「ECからの店在庫取り置き」も6割が店舗に計上していたが、「EC受注品の店出荷」は数社と限られるものの全社がECに計上していた。それを店舗に計上してもガバナンスを優先するのがINDITEXの流儀と思われる。

 ECの受注を店在庫に引き当て店舗で渡したり店舗から出荷するというC&C対応は顧客利便には適っても、店舗とECの在庫コントロールと成果評価をどうするかという課題が残る。それでもZARAが舵を切り、多くのアパレル企業が店舗を犠牲にしてもEC主導の成長戦略に踏み切るのは、もはや店舗とECの分岐点を時代が超えてしまったと腹をくくるべきではないか。